「正解」は人によって違う

投資の世界には、一般的な「セオリー」がいくつもあります。

損切りラインを設定しましょう、分散投資を徹底しましょう、テクニカルとファンダメンタルズを組み合わせましょう――どれも間違ってはいませんが、それが「すべての人にとっての正解」とは限りません。

大切なのは、そうした知識やノウハウを、自分の投資目的や資産状況、性格に照らし合わせて「どう活かすか」を考えることです。

たとえば、短期売買をする人と、長期投資を志す人では、損切りの考え方もまったく異なって当然です。

「自分ルール」のアップデートを

投資を続けていると、自分なりの「型」ができてきます。これはとても良いことです。

一方で、その「型」が思考停止を生むリスクもあります。かつてはうまくいっていた手法が、今の相場では通用しなくなることもあるのです。

だからこそ、時折立ち止まって、「今の自分の投資ルールは、自分にとって本当に有効か?」と見直してみることが重要です。

他人のやり方を真似するのではなく、自分のやり方を磨き続けることが、長く相場に残るための鍵になります。

含み損も「資産」の一部と考える

含み損というと、つい「悪いもの」「減らすべきもの」として捉えがちです。

しかし、「将来に期待して買った銘柄」であるなら、含み損もまた資産の一部です。

冷静な目で見直すことも必要ですが、短期的な価格変動に一喜一憂して、焦って手放すのはもったいないケースが多いものです。

資産全体のバランスを見ながら、「この銘柄を持ち続けることが、自分にとっての納得いく投資かどうか」を判断する視点を持ちましょう。

「勝てる投資家」は、自分の頭で考える

投資で長く勝ち続ける人に共通しているのは、「自分の頭で考え、判断している」ということです。

他人の意見に影響されすぎず、自分なりの仮説と検証を積み重ねていく。その積み重ねこそが、投資家としての経験値となり、信頼できる判断軸を育てていくのです。

損切りをするかしないかも、その一部にすぎません。大切なのは、自分の選択に納得できているかどうかです。

たとえ含み損を抱えていても、「この銘柄には将来性がある」と確信しているなら、それは立派な戦略です。

※本稿は、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。