武田薬品次期社長は初の女性「現社長がリードしてきたものを引き継ぐ」!?社内に期待感が乏しい理由武田薬品工業の次期社長、ジュリー・キム氏 Photo:Diamond
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 既報のとおり武田薬品は、高給に見合うだけの実績が伴わず、社内外でビッグマウスあるいは守銭奴と評されたクリストフ・ウェバー社長が今年1月にようやく辞意を表明し、後釜として指名されたシャイアー出身のジェリー・キム氏が来年6月に次の社長に就任する予定となっている。武田薬品が18世紀末に「開闢」して以来、初の女性のトップとの触れ込みだが、同社社内に期待感は乏しい。

 ここ数年来、ポスト・ウェバーを巡っては、多くの穎才たちの名前がもっともらしい理由とともに浮かんでは、消えていった。そうしたなか、下馬評にも乗ってこなかったキム氏が指名されたため、株式市場からは「誰だ、その人は」と驚きの声が上がったのも無理はない。国内の武田関係者ですら発表を受けて、「えっ」と二の句が継げない社員も少なからずいたと側聞する。ウェバー社長より4歳若いだけなので若返りとは言い難いが、いずれにせよこのアジア系米国人が、漂流する巨艦の再起動を担うことになる。

 武田によると、キム氏は19年にプラズマデライブドセラピーズビジネスユニットのプレジデントに就任し、22年からはUSビジネスユニットのプレジデントおよびUSカントリーヘッドを務めているという。5月の決算会見時には、「戦略を大きく変えることは考えていない。タケダのレガシーを引き継ぎ、尊重して、クリストフ・ウェバー氏がこれまでリードしてきたものを引き継ぎたい」などと抱負を語った。

 コメントそのものは国内初お披露目という場と自身の立ち位置を弁えたものだったので何ら批判するところでないが、気になったのは、「クリストフ・ウェバー氏がこれまでリードしてきたもの」なるくだりだ。彼女は一体、何をリードしてきたとしてウェバー氏を評価しているのだろう。