アンパンマンかと思ったら任侠だった…「なめたらいかんぜよ」戸田恵子が“鉄火な女”で登場!【本人コメント付き・あんぱん第75回レビュー】『あんぱん』第75回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第75回(2025年7月11日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

待望のアンパンマン声優
戸田恵子が登場!

 待ってました! アンパンマンこと戸田恵子がついに『あんぱん』に登場した。これまで『あんぱん』には、しょくぱんまんの島本須美、ばいきんまんの中尾隆聖、ジャムおじさんの山寺宏一と『アンパンマン』にゆかりある俳優たちが登場してきたので、戸田恵子も出るにちがいないと楽しみにする視聴者も少なくなかっただろう。

 戸田の役は薪鉄子。「ヒロイン・のぶ(今田美桜)が高知新報時代に出会う高知出身の代議士。のぶ以上のスピード感で進んでいくハチキン(土佐ことばで、快活な女性)であり、『弱い立場の者に手を差し伸べる』という強い信念がある。後にのぶの人生に大きな影響を与えていくことになる」という設定の人物だ。

 制作統括の倉崎憲チーフプロデューサーは戸田恵子の起用についてこう語っている。

「2013年10月に『あんぱん』の企画発表をしてから、戸田恵子さん登場への期待の声をずっと受け続け、必ずどこかでご出演いただきたいと考えておりました。

 実は、随分前からあくまで“取材”で戸田さんにはやなせさんやアンパンマンに関して、たっぷりとお話を聞かせていただきました。その愛に触れるたびに、『あんぱん』は戸田さんにチームに入っていただくことでピースがはまるのだと確信しました。きっと、やなせさんも暢さんも天国で喜んでくださっていると思います」

 戸田はアンパンマンの声を担当しているので、アンパンマンを思い出すようなサービスがあるかと思ったら、それはなかった。代わりに「なめたらいかんぜよ」と高知を舞台にした任侠映画『鬼龍院花子の生涯』の決めゼリフだった。そのセリフに鉄火な感じが良く出ていた。

 では順に、薪鉄子とのぶ(今田美桜)の出会いを振り返ろう。