お勧めの飲み物は牛乳
安くて栄養価が高い

 そこで、私がお勧めしたいのが牛乳です。コストが低く、それでいて栄養密度が高い。密度というのは100カロリーベースでそこからとれる栄養素という意味合いです。例えば油ならほとんどエネルギーしかありませんし、アミノ酸スコアが高い肉では質のいいタンパク質を取れますが、量を取るほど脂質摂取も同様に多くなり、血液中の中性脂肪値がはね上がってしまいます。

 牛乳にはよく知られるカルシウムだけでなく、肉と同じように必須アミノ酸をバランスよく含むタンパク質や、そのほかビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、E、カリウムなどが含まれるのです。100円で買える栄養素の量はダントツで幅広く、栄養価が高いといえるでしょう。

 また、夏に糖質が多い乳酸菌飲料などを大量に摂取するとバテやすいと述べましたが、これを牛乳割りにすればおいしく健康的に、熱中症予防にも有効な飲料になります。利尿作用のあるコーヒーにも牛乳を入れて「コーヒー牛乳」として飲んでもいいですね。

 さて一口に牛乳といっても、市販されているものは大きく6種――牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、乳飲料に分けられます。

牛乳の種類
牛乳…成分無調整。水などを加えることは法令で一切禁じられている
成分調整牛乳…生乳から水分、乳脂肪分、ミネラルなどの一部を除去し、成分を調整したもの
低脂肪牛乳…生乳から乳脂肪分を除去し、低脂肪(0.5%以上15%以下)にしたもの
無脂肪牛乳…生乳から乳脂肪分を除去し、無脂肪(0.5%未満)にしたもの
加工乳(生乳+乳製品)…生乳にクリーム、バター、脱脂粉乳を加えたもの
乳飲料(生乳+乳製品+乳製品以外のもの)…生乳や乳製品を主原料にビタミン・ミネラルなどの栄養分やコーヒー、果汁などを加えたもの

乳脂肪に含まれている
若返りビタミン

「種類別名称」の項に「牛乳」と記載されている商品が、生の乳(生乳)を加熱殺菌しただけのもので成分無調整です。それに対し、生乳から水分、脂肪分などを除去して成分を調整したものは「成分調整牛乳」といいます。そのうち乳脂肪分を除去したものは、その除去割合により「低脂肪牛乳」「無脂肪牛乳」と表示されます。脂肪が気になって、これらを選んでいる人も多いかもしれません。

 ですが私は米なら精製されていない玄米、果物なら丸ごと食べるのがいいように、牛乳もホールフードととらえて、成分無調整牛乳が一番いいと思います。乳脂肪を除去した低脂肪や無脂肪の牛乳は、若さや健康維持に必要な脂溶性ビタミンも少なくなってしまいます。乳脂肪には皮膚や粘膜の健康を保つビタミンA、抗酸化作用があって若返りビタミンといわれるビタミンEが含まれているのです。

 脂溶性ビタミンA、Eはカボチャやニンジンにも含まれていますが、脂質と一緒に含まれる牛乳のほうが吸収率がいいんですよ。これらの脂溶性ビタミンが不足すれば子どもなら成長に悪影響を与え、中高年以上には老化が進む原因に……。成分無調整牛乳を1日に1~2杯、飲む習慣があるといいでしょう。

 とはいっても、乳脂肪を除去した牛乳のほうが向いている人もいます。