牛乳が熱中症予防になる
驚きのメカニズム

 医師から体重制限を指導されている人、脂質代謝異常(高脂血症)の人、中性脂肪の値が高い人は、高カロリーや過剰な脂質摂取を避けなくてはならないので、低脂肪牛乳か無脂肪牛乳を選んでください。1日1リットル以上の牛乳を飲みたいという人も、低脂肪牛乳のほうがいいと思います。

 牛乳を飲むタイミングは、朝ならスムーズに体温を上げる手助けとなり、日中は活動エネルギー源に、そして夜はエネルギーに使う必要がない分、骨などの体づくりに使われます。

 そして熱中症予防としても、牛乳は力を発揮します。特に運動後にアミノ酸バランスが優れている牛乳を飲むと、肝臓でアルブミンというタンパク質の合成を促し、血液量を増やすことができるのです(注)。アルブミンは血管内の水分を保持する働きがあり、血液量が増えると体温調節機能がとても改善します。ただしタンパク質は一回につき吸収できる限度があるので、毎日コツコツ摂取が大切ですね。牛乳が苦手な方はヨーグルトやチーズでもOKです。

 牛乳を含む乳製品は、造血ビタミンといわれるビタミンB12も含まれ、さらに筋肉合成に使われるロイシンというアミノ酸も豊富です。ロイシンの多い牛乳を飲んで、日頃からアルブミンや、水分貯蔵庫でもある筋肉量を増やし、暑さに強い体を作っていきましょう。(続く第3回は7月31日(水)公開予定です)

(注)信州大学医学部の能勢博特任教授によると、ややきついと感じる運動を1日に15~30分程度行い、その後にコップ1杯から2杯の牛乳を飲むことを2週間続けると血液量が100cc程度増えるとのこと。その結果、発汗能など体温調節機能が50%改善し、熱中症にかかりにくくなる、とのコメントをいただきました。