距離が近いほうを見る
実は、どちらか一方の思考が常に有利であるといった単純な話ではありません。
というのも、効果的な考え方は進捗状況によって異なるからです。
具体的な心理的作戦はこうです。
今、自分がスタート地点とゴール地点のどちらに近いかを比べて、近いほうに目を向ける。
そうすることで、「これまで取り組んできたことが、ちゃんと成果につながっている」と実感しやすくなり、モチベーションが向上しやすいことがわかっています。

現在地が、スタート地点に近い場合
ここで、図5─1の上の図をご覧ください。
たとえば、10キロマラソンに挑戦している最中に、まだ3キロしか走っていない進捗の少ない段階では、〈現在地(3キロ地点)〉から見ると、〈ゴール地点(10キロ地点)〉よりも〈スタート地点(0キロ地点)〉のほうが距離が近いです。
そのため、基準点を〈スタート地点〉にして、「これまで3キロ走った」と捉える「これまで思考」を使ったほうがやる気が出やすくなります。
現在地が、ゴール地点に近い場合
今度は、図5─1の下の図をご覧ください。
同様に10キロマラソンに挑戦している最中に、すでに7キロまで走った進捗の進んだ段階では、〈現在地(7キロ地点)〉から見ると、〈スタート地点(0キロ地点)〉よりも〈ゴール地点(10キロ地点)〉のほうが距離が近いです。
そのため、基準点を〈ゴール地点〉にして、「これから3キロ走ればよい」と捉える「これから思考」を用いたほうがやる気が出やすくなります。
状況に応じた、効果的な心理的作戦を知っておく
このように目標追求の進捗状況に応じて、どちらの思考を使ったほうがやる気が高まるのかが異なります。
現在地から〈スタート地点〉と〈ゴール地点〉のどちらが距離が近いのかを見極めて、用いる作戦を使い分けることが必要です。
※本稿は、『すぐやる人の頭の中──心理学で先延ばしをなくす』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。