それは一言で言えば、「資本主義・グローバリズムへの宣戦布告」である。
1930年代、日本主義支持者たちはどんな行動を起こすのかというと、暴力・武力に訴え、天皇中心の統制国家樹立を目指した。
1933年、日本主義を掲げる右翼団体のメンバーらが「神兵隊事件」というクーデター未遂事件を起こした。約50人は検挙され、内乱罪が適用されたものの、みな実刑は免除された。
さらにこの後、日本主義に取り憑かれた青年将校たちも暴走する。1936年の二・二六事件である。これをきっかけに政治家が萎縮し、軍部が発言権を増して、「皇国日本が中心となって世界平和を実現していく」という「日本主義」の暴走が始まってしまうのは、歴史が証明している事実だ。
では、令和の参政党ブームでも同じような未来が訪れるのかというと、もちろんそんなことはない。今の日本、世界の情勢でこのような軍事行動が起こるとは考えにくい。
その代わりに勃発する可能性が高いと個人的に考えているのが、「日本独自の経済システム確立」を目指して、国際社会と敵対しようとする強硬派の政治家・官僚らによる“政策クーデター”である。
日本の国と地方を合わせた政府債務残高は2023年度末時点で1442兆円(令和臨調)にまで膨らんでいる。対GDP比では240%にも上る。これは世界でも最悪レベルでIMF(国際通貨基金)のデータを見ると、「レバノンより良くてスーダンより悪い」というポジションだ。
なので自民党は「このままだと円の信用もガタ落ちだし、未来の日本人が気の毒だからもうちょっとちゃんとしよう」と訴えてきたわけだが、参政党支持者など積極財政派はこういうデータもインチキ、もしくは財務省の洗脳なので、まったく気にすることなく国債をじゃんじゃん発行して、消費税廃止にせよという。
ただ、日本国内では圧倒的支持を受けるこの考え方だが、国際社会では相手にされない。積極財政派の論拠である「MMT理論」(現代貨幣理論)はブームが去って、経済学の世界では異端視されているからだ。