JOYを出したのは、他社の「SUV調スーパーハイトワゴン」が売れたから?

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):単刀直入にズバリ伺います。スペーシアギア、タントファンクロス、そしてデリカミニ、と“SUV調スーパーハイトワゴン”市場が大盛り上がりです。絶対王者のN-BOXも「バスに乗り遅れるな」とばかりに新しいスタイルを追加導入したのが、JOY誕生の真相ですか?

ホンダ「N-BOX JOY」ホンダ「N-BOX JOY」(広報写真)

本田技研工業 四輪開発本部 完成車開発統括部 LPL室 LPL チーフエンジニア 諫山博之さん(以下、諫): N-BOXの誕生は2011年。2回のモデルチェンジを経て、現行は3代目にあたります。とてもありがたいことに、ノーマルとカスタムを合わせると、世の中には今や250万台ものN-BOXが走っています。しかもこのクルマにはリピーターが非常に多い。初代、2代目と乗り継いでくださっているお客様がとっても多いんです。こうなると、「次はちょっと違うのが欲しいよね」という声も少なからず上がってくる。

F:N-BOXの基本はキープコンセプト。モデルチェンジしても、見た目がガラッと変わってしまうことはありません。リピーターの「ちょっと違うのが欲しい」という気持ちもよく分かります。

諫:地方都市へ行くと本当に街中にあふれていて、信号で止まると「周りのクルマがみんなN-BOXだった」なんていうことが、ひんぱんに起こるんです。これは誇張でもなんでもなく、本当にそういうシーンに出くわすんです。そうなると、「N-BOXには乗りたいんだけど、少し違うキャラクターが欲しい」という方も増えてくる。買い替えのタイミングで、他のクルマへ行ってしまう人だっているかもしれません。

 ですから3代目のスタディをしている段階から、「次は派生を検討した方がいいよね」という議論は活発に交わされていました。3代目N-BOXは、企画の段階から第三の柱になるクルマの企画も一緒に進めていた、というのが真相です。