とてもおトクな商品なのに、
普及していないのには理由がある

 さて、これまでドラぷらの旅の宿泊施設セットプランについて、申し込みの流れと商品の特徴を説明してきました。利用の方法によっては、高速道路の通行料金を大きく節約できるおトクな商品ということがおわかりいただけたと思います。

 ただ、この商品には、利用者の使いやすさを考える上で、大きな課題があります。それは「高速道路利用のみの商品との差異がわかりにくいこと」「商品の体系の把握が困難なこと」「申し込みの流れがわかりづらいこと」です。いくらいい商品でも、その内容や申し込み方法がわからなければ、利用はごく少数にとどまるのではないでしょうか。

 現在のドラぷらのサイトの構成では、まず「ドラ割」という前払い制の周遊パスのブランドがあり、その下に「高速道路利用のみのもの」「セットプラン」が並び、さらにセットプランのなかに「宿泊施設セットプラン」「レンタカーセットプラン」が並ぶという体系になっています。

 そして同じ商品名を持つドラ割商品の下に、宿泊施設がセットになるだけでなく、周遊エリアの違い、発着地のあるなしなど、商品の使い勝手が異なるセットプランが含まれるという状態です。

 そのため、同じ商品名(たとえば東北観光フリーパス)なのに、商品性が大きく異なるものが横並びとなっており、「それぞれがどういった商品か」は、詳細ページを参照しなければならないなど、非常にわかりにくくなっているのです。

 また商品名についても「東北観光フリーパス」の下に「東北6県周遊プラン」があり、そのなかに「宿泊施設セットプラン」があるなど、「パス」「プラン」といった意味の似通った名詞が混在するという“わかりにくさ”があります。

「ドラぷら」サイトそもそもこうした商品が、NEXCO東日本の「ドラぷら」サイトを開いて、「割引情報・ETC」というタブの中に休日割引や深夜割引の情報と並列して書かれていることからして、知らなくてはたどり着けないのではないか(出典:NEXCO東日本) 拡大画像表示

 たとえばこれを、高速道路利用のみの「ドラ割 高速道路プラン」、宿泊施設がセットになった「ドラ割 宿泊施設プラン」、レンタカーがセットになった「ドラ割 レンタカープラン」というように「商品の特徴をもとにまず区分する」「名称でどんな商品性をもつものか直感的に理解できる」ようにして、それぞれのプランの下に、より細分化された商品名(たとえば東北6県フリーパス6県/青森宮城フリーパス/秋田宮城フリーパス)のようにぶら下がる形であれば、よりわかりやすくなると思います。このあたりはとても残念です。

 また現在はページ構成「ドラ割」と「ドラぷらの旅」に分かれていて、商品検索、商品の詳細説明、申し込みフローという流れで「ページを行ったり来たり」する印象があります。ここも、先に述べた商品の名称やカテゴリの整理とともに見直してもらえれば、もっと使いやすくなるはずです。

 最後に苦言を呈する形となりましたが、ドラ割 宿泊施設セットプランは使い方によっては高速道路の通行料金を節約しつつ、“乗り降り自由”を生かして自由度の高い旅を組み立てられる、魅力的な商品です。ドライブ旅行に出かける予定があるなら、活用する価値があると思います。