5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…#44Photo:PIXTA

新卒の就職者数は、企業の成長力や経営戦略、さらには“序列”を反映するバロメーターだ。高学歴の学生を数多く採用できていれば、それだけブランディング力が高いことの証左であるし、新卒採用の増加数も業績の勢いを示す材料といえる。そこで、特集『5年後の業界地図2025-2030 序列・年収・就職・株価…』の#44では、運輸業界における、東京大学からMARCH・関関同立までの「難関大学」の就職者数の割合が高い企業のランキングをお届けするとともに、ここ10年での新卒の就職者の増加数と各大学の内訳を完全網羅したデータをつまびらかにする。これを見れば、業界内での企業の採用傾向が一目瞭然だ。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

運輸業界の就職データの詳細を大公開
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 高学歴の大学生を数多く新卒採用しているのはどの企業か――。

 新卒採用は、企業の成長力や経営戦略を示す格好のバロメーターだ。新卒の就職者数の増加数は、企業の成長力を示す分かりやすい材料であるほか、就職者数が減少している場合も、“少数精鋭化”といった経営戦略の変化を如実に表していることが多い。

 中でも、特に注目が集まりやすいのが、高学歴の学生の採用数だ。難関大学の卒業生を多く採用できていれば、それだけ企業のブランディング力が高いということの証明になる。また、難関大の就職者数が多い企業は、世界規模での活躍や高年収を望める企業であることも多く、優秀な人材を引き付ける魅力的な環境という評価も高まりやすい。

 そこで今回、大学通信提供のデータを基に、東京大学などトップクラスの国立大学からMARCH・関関同立まで22大学を「難関大学」とし、その就職者数の割合を基にした「難関大就職者割合ランキング」を作成した。

 具体的には、2024年3月に大学・大学院を卒業・修了した就職者数のうち、「東京一工」「旧帝大」「早慶上理」「関関同立」「MARCH」の各大学の就職者数を集計。全就職者数に対する割合を企業ごとに算出し、業界ごとにランキングを作成した。

 さらに、今回は、企業ごとの採用傾向を完全網羅するために、10年前の採用数とその増減、大学ごとの内訳とてんこ盛りに掲載した。これを見れば、各企業がどのような成長のモメンタムにあるか、また“エリート学生”をどれだけ採用できているかやどの大学群に強いかも全て一目瞭然だ。

 今回は、鉄道、陸運、海運、空運など運輸業界の22社を対象としたランキングを公開していこう。

 運輸業界の中でも、海運のトップ企業は超高年収で知られている。25年3月期の有価証券報告書によると、平均年収は日本郵船が1435万円、商船三井が1436万円、川崎汽船が1222万円と、1000万円を大幅に上回る超高水準だった。

 そうした印象もあってエリート学生から支持されているのか、難関大の割合ランキングを見ても、上位に軒並み海運がランクイン。3社のいずれも難関大の割合が60%を超えた。

 もちろん、鉄道会社などほかの業種でもトップ大学からの就職者が多い企業は存在する。東日本旅客鉄道(JR東日本)、西日本旅客鉄道(JR西日本)、東海旅客鉄道(JR東海)、小田急電鉄、京成電鉄、東急電鉄、ヤマト運輸、佐川急便、三菱倉庫、ANA、日本航空……各社の状況はどうなっているのか。次ページでその結果を見ていこう。