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株式相場の乱高下に伴い、円高圧力が高まっている。対ドルの為替レートは、5月22日に1ドル103円まで円安が進んだが、23日の日経平均株価の暴落とともに反転した。
足元の為替相場で特徴的なのは、株価との相関が高まっていることだ。株価が下落すると、円高が進む。6月3日には、日経平均の513円の下落を受け、ニューヨーク市場で1ドル98円台にまで入った。その後いったん円安方向に戻したものの、5日にはまたもや日経平均が519円下落。ドル円レートも一時98円台となった。
だがこれは、一見すると奇妙な動きである。円高が株価の下落をもたらすということはしばしばあるが、逆はこれまであまり見られなかった現象だ。
株式相場に変調をもたらした最大の要因は、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和(QE3)の縮小観測が高まったこととされる。投資家の懸念を反映して、5月22日には米10年債の利回りが2%を突破。28日以降は2.1%台で推移している。
しかし、米国の金利上昇は、通常ならばドル買いを促し、ドル高円安圧力となるはずだ。
一つの要因は、海外投資家の為替ヘッジだ。日本の株価高騰を主導した海外投資家の一部は、為替リスクの回避のために、日本株買いの際に、同時に円売りの為替ヘッジをかけていた。これが株価の上昇に並行して、円安の加速をもたらしていた一因だが、その流れが逆転した。