
景気循環が弱まり安定度を増す
先進国のファンダメンタルズ
近年の先進国経済は、コロナショックのような外生的なショックでも生じない限り、大きく上振れすることもなければ下振れすることもなく、極めて安定的に推移するという特徴を持っている。
以前であれば、景気変動は、主に製造業の在庫循環や金融環境の循環(クレジットサイクル)によって引き起こされてきた。在庫循環に関しては、管理技術の飛躍的向上も一因ではあろうが、何よりも先進国経済がどこもサービス産業を主体とする構造に代わっており、在庫循環に伴う景気変動が起きずらくなっている。
クレジットサイクルは、主に銀行システムにおける貸出の減少(信用収縮)によって引き起こされてきた。ところが世界的な金余りやノンバンク金融の拡大などによって、その影響はあまり感じられなくなってきている。
このように実体経済が安定的に推移するからこそ、株式市場は多少のショックがあってもすぐにそれを乗り越え、安定的な上昇傾向を続けることができる。そして、その経験を積み重ねていくことによって投資家は自信を深め、次第に株価が割高になっていく。それが今の市場の状況であろう。