米イリノイ大学の研究者らが米国がん学会専門誌に報告した研究によると、トマトと大豆製品を一緒に摂ると、別々に食べるよりも前立腺がん予防効果がアップするらしい。

 研究者らは、遺伝子操作で100%前立腺がんを発症するようにしたマウスに(1)トマトパウダー、(2)大豆胚芽、(3)トマトパウダーと大豆胚芽、(4)トマトも大豆も抜きの一般食のうち一つのパターンで餌を与え、その効果を観察した。

 その結果、トマトだけ食べていたマウスは61%、大豆胚芽のみは66%が前立腺がんを発症。しかし、トマトと大豆の両方を摂取したマウスでは、45%しか前立腺がんを発症しなかったのだ。トマトも大豆も与えられなかったマウスは、全て前立腺がんにかかった。

 マウスの摂取レベルを人間に換算すると、大豆の摂取量は1日に1、2回大豆製品を食べるアジア人男性に相当。55歳の男性がトマトと大豆の恩恵を受けるには大豆食品を1日に1、2回、トマトは1週間に3、4回食べるとよいそうだ。サプリよりホールトマトや豆乳の摂取が推奨されている。

 もう一つ、今度はトマトを含むナス科の野菜の話題を。こちらは米ワシントン大学からの報告。それによると、ピーマンやトマトなどニコチン(!)を含むナス科の野菜を食べるとパーキンソン病の発症を予防できるという。

 研究者らは490人の患者と、健康な644人の食生活を比較した。その結果、ナス科の野菜の消費量が多い人は、一番少ない人に比べて発症リスクが19%低下した。特にピーマンを少なくとも週に2回以上食べると、1回未満よりも発症リスクが30%も低下する。

 ニコチンというと、体に悪いイメージがある。しかし過去の研究から、喫煙者のパーキンソン病発症率は非喫煙者より低いことが知られている。今回初めて「食べるニコチン」の作用が示されたわけだ。タバコもナス科の1年草。パーキンソン病予防効果はナス科の植物に特有の作用のようだ。

 今回見つかった作用は、非喫煙者や喫煙歴10年未満の人で特に顕著だった。同じナス科なら、吸うより食べましょう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

週刊ダイヤモンド