エネルギー動乱Photo:JIJI

2025年10月21日、自由民主党と日本維新の会の連立政権として、高市早苗内閣が発足した。高市政権のもとで、日本のエネルギー政策は、どう変わるのか?長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、この論点を掘り下げる。(国際大学学長 橘川武郎)

石破前政権はエネルギー政策を
「何も変えなかった」

 高市早苗新政権のエネルギー政策を展望する前に、石破茂前政権のエネルギー政策について、簡単に振り返っておこう。残念ながら、石破前政権は、エネルギー政策に関して、何の影響力も発揮することはなかったし、何の業績も残さなかったのである。

 確かに石破内閣は、今年2月に第7次エネルギー基本計画(エネ基)を閣議決定した。しかし、その特徴として指摘される「原発回帰」の明示も、2040年度の電源構成・一次エネルギー供給構成見通しにおける複数シナリオの導入も、岸田文雄前々政権が打ち出した方向性を踏襲したものに過ぎず、そこに「石破色」はみじんも感じられなかった。

 就任時には石破前首相は、歴代の自民党出身総理大臣のなかでは相対的に、原子力に批判的で再生可能エネルギー(再エネ)に好意的だといわれていた。しかし、エネルギー政策が変更された形跡は、全く見当たらない。石破前首相は、そもそも、エネルギーには関心を示さなかったのである。

 それでは、高市政権の登場によって、日本のエネルギー政策は変わるのか。変わるのだとすれば、どのように変わるのか。