面接も企業と学生、双方にとって退屈な儀式になっているように見受けられます。だからこそ、その人の本質的な興味や情熱を見極めようとする「ガクハマ」重視はよい傾向かもしれません。
孔子の知好楽――好きよりも
うれしいよりも大事なこととは
――結局、自分が心から好きなものを見つけることが大事なのですね。
いや、言を覆すようなのですが、実は、最近はそれもちょっと違うのではないかと思っているのです。私は研究室に、孔子の論語から引用した「知好楽」という三文字を掲げています。
これは「そのことをただ知っているだけの人よりも、それを好きでやっている人の方が上であり、好きでやっている人よりも、楽しんでやっている人の方が上である」という意味です。
――好きなだけではだめなんですか!
驚かれたでしょう。「好き」は何より強いと私もずっと信じて疑わなかったのです。けれども、この言葉に出合って根本的に考えが変わりました。
確かに私自身の研究に対する気持ちを振り返ると、研究が「好き」というよりも「楽しい」のです。好きだけれど辛い、苦しいということはありますが、楽しいと思っていることは、その苦しいことも含めて楽しめます。苦しいとすら思わない。
学習においても、この違いは明確です。「勉強が好きです」と言う人より「勉強が楽しいです」と言う人の方が明らかに輝いています。学ぶことが楽しければ、それは、長期的な成長につながる。
そして、「楽しい」と「嬉しい」も違うのではないか。「嬉しい」は褒められて嬉しい、合格して嬉しい、成長して嬉しいといった他者の評価、他者との関係性の中で生まれる感情です。相対的なものであり、たとえば合格して嬉しいのは不合格の人がいるから。
100点を取ったとしても、クラス全員が100点だったら嬉しくないでしょう。100点を取るための努力や成長するための努力には、どうしても評価への意識がともなっていて「嬉しい」には義務感や「やらされている感」、息苦しさが含まれるような気がするのです。
一方、「楽しい」は純粋にワクワクする、のめり込む、夢中になるという自発的で内発的な感情です。他者との比較ではなく、その活動そのものから生まれる満足感です。
就活や将来の仕事選びにおいても、「好き」や「嬉しい」ではなく、この意味で「楽しい」と思える要素があるかどうかが、長期的な満足と成長につながると考えています。
*後編は12月20日公開です。お楽しみに!









