桐谷 ロジャーズさんは、株主優待はご存じですか?

ロジャーズ 日本株にはそういうベネフィットもあると知った時は驚きました。私はキャピタルゲイン(資産を売却した際の価格差益)を狙う投資をしています。日本航空(JAL)の株を持つなら最高のベネフィットは株価が上がることであって、それ以外のベネフィット(編注:航空券の割引券など)にあまり興味はありません。

桐谷 株式投資で値上がりを狙ってうまくいけば、それが1番いいとは思います。私自身、信用取引という証券会社から借金する投資を、リーマンショックまでやっていました。しかしバブル崩壊で大損して、さらにリーマンショックで大損して、自分は値上がりを狙うのが下手だと分かって以降は、インカムゲイン(資産を保有中に得る定期収入)中心の投資をしています。

 配当金は、保有株数が少ないと微々たるものなので、株主優待を活用します。株主優待は少ない保有株数でも結構いい優待品、例えば食事券がもらえる。銘柄を選ぶ基準を「優待+配当の合計利回りが4%以上」にしてからは、うまくいっています。

ロジャーズ いいですね!投資家は自分のスタイルを持つべきです。投資で成功するコツはたったひとつ、自分の方法を見つけ出すことですからね。私はキャピタルゲイン狙い、桐谷さんは株主優待や配当ですね。

――次に株価が暴落するとしたら「予兆」はありますか?

25年の状況は過去の暴落前と似ている

桐谷 バブル崩壊も予兆はなかったんです。私はバブル時代に株を始めて、「株は値上がりしていく」と思い込んでいました。それでITバブルの時も、リーマンショックの前も、株価が上がると「もっと上がるんじゃないか」と思っていた。25年の状況って、当時と似ている気がしますね。

 ロジャーズさんは日本株も米国株も売ったとおっしゃいましたが、暴落があれば買い戻しますか?

ロジャーズ どれくらい下がるかによりますね。どの株が最も下がるかを見て、最も下がった時に賢く買いたいです。今は注視してタイミングを待っています。

――過去に株価が暴落した直後、何をしましたか?あるいは今後の暴落に備えてできることとは。