ピアプレッシャーがあれば、
ルールはいらない

本田 しかし、ルールがぼんやりしていては、社員をコントロールできないんじゃないですか?

なぜあの会社には、<br />働き方のルールがないのか?<br />【企業インタビュー:IDEO編】IDEO社内

トム仲間からの、ある種のプレッシャーですね。ピア(同僚)プレッシャーとも呼ぶべきもの。優秀な同僚たちとも競争しているわけですから、彼らが見ているぞ、ということは自分を律する重要なポイントになると考えています。昔のヒエラルキーの厳しい組織なら、ボスにちょっとゴマをすったりして、自分の身を守ることができた。しかし、今は違う。仲間すべてが見ているからです。

本田 ルールなどなくても、同僚たちの良心の目がしっかり見ている、ということですね。

トム ヒエラルキーをできるだけ強調しない、消そうとしています。例えば企業によっては、上司が何か間違えたことを行っても、部下は唇をかんで何も言えない、というようなことがよくあります。そういうことは、この会社では起こりません。どんなに若い社員であっても、自分が主張していることはちゃんと聞いてもらえます。耳を傾けてもらえる。必ずしも言い分が通るわけではありませんが。でも、それこそCEOが言っても通らないこともありますので(笑)。通る通らないではなくて、ちゃんとリスペクトを持って意見を聞いてもらえるということです。

なぜあの会社には、<br />働き方のルールがないのか?<br />【企業インタビュー:IDEO編】打ち合わせのブース