日本にある多くの世界的企業でさえも、新卒採用は「日本の学生」のみがターゲットですから、世界人口からみればごくごく小さな母数から選出しているにすぎないわけです。日本人以外にも、海を渡れば凄い人材がいくらでもあふれているのに、減りゆく日本人学生(18歳人口は1992年の205万人から、2011年には120万人へと40%以上減少している。文科省調べ)というパイを皆で奪い合ってるわけです。普通に考えても、それでは日本企業の人材力、ひいては企業としての競争力が落ちていくのは明らかです。
逆にこの2%の世界における存在感は、今どの程度あるでしょうか。
日本の学生は日本に閉じこもって安心していて良いのでしょうか。これからの日本は、世界にどんどん打って出なくてはいけないと思っています。この2%が世界最高の努力家でハイレベルだった時代はそれで良かったのです。しかし今は残念ながら、国力、そして企業の競争力という点で、世界のトップクラスから引きずり下ろされています(世界における日本のGDP比率は、1995年の18%程度から、2013年には7%程度まで減少している。野村資本市場研究所調べ)。マーケットだけでなく、人材の獲得・育成という観点からも、もっと世界を見渡すべき時代が訪れているのです。
冒頭ご紹介したように、すでに世界のグローバル企業は、海外へも人材獲得競争に本格的に乗り出しています。これまで、世界のトップ企業はローカル(現地法人)採用に力を入れてきました。しかしここへきて最近は、本社採用のために海外の学生を獲得する動きが見え始めたのです。
冒頭挙げたサムスンやGoogleのように、海外の学生に韓国や米国本社向けのオファーを出すのは非常に稀なケースです(サムスンは中途採用においては、世界トップ10のビジネススクールを行脚して、MBAホルダーを積極的に採用しています)。しかし、サムスンやグーグルにしても、多くの学生に同様のオファーを出しているとは考えにくいことから、本気で世界の天才だけを採りにいっていることを伺わせる、注目すべき大きな動きといえるでしょう。
海外学生が辞める理由は日本企業の仕組みにある
では、日本の企業が真のグローバル採用を実践するには、何から始めればよいのでしょうか。
そもそも真に優秀な学生が採用できているのか、についてはまた別の機会に触れるとして、よく聞こえてくるのは次のような嘆きです。「世界のトップ人材を採用しても辞めてしまう」。
なぜだと思われますか?