高齢者を釣るエサになる
「金」「健康」「孤独」

 総務省は4月、65歳以上の人口が初めて3000万人を突破したと発表した(12年10月1日現在の人口推計)。1947~1949年生まれの団塊世代の一部が65歳を迎えたことで、総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は24.1%と過去最高を更新。超高齢社会の日本では、引き続き高齢者の数も、高齢化率も右肩上がりで上昇していくことになる。

 高齢者の世代は他の世代と比較して、総じて資産持ちだ。現役時代にためた資産、退職金、そして年金などで構成される60歳以上世帯の平均貯蓄は2000万円超。全世帯の貯蓄総額の6割以上を60歳以上世帯が占めている。しかも、負債額は他の世帯と比較して少ない。

 1500兆円に及ぶ個人金融資産の6割を占める巨額な高齢者マネーはあらゆる方面から狙われている。

 例えば金融業界は彼らの資産をより投資へ振り向けさせ、手数料収入などで稼ごうとしている。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅をはじめとした介護業界、住宅業界は老後の住まいと介護を提供することで市場を拡大している。

 群がるのは、まっとうなビジネスだけではない。詐欺などのアングラな業界もまた、膨らむ老後マネーに舌なめずりしている。

 高齢者の大金をできるだけ自分たちのほうへ引き寄せようとする動きが活発化する中、金にまつわるトラブルは増える一方だ。国民生活センターの集計によると、高齢者からの消費生活相談件数は年々増加。07年度に15万4000件だった相談件数は、5年間で約5万件も増え、12年度は20万7500件にも上った。高齢者人口の増加も影響しているが、それ以上に相談件数は増加している。

 しかも、トラブルの金額が大きい。消費生活相談1件当たりの平均契約購入金額が65歳以上の場合は210万円。65歳未満の117万円のほぼ2倍の金額だ。