小学校の旧教室を「物々交換の部屋」に
地域住民の交流の場となる
たとえば昨年には、図書室だったスペースを使い、同施設の会員から募った「心に残った本」の中から、毎月数冊を購入して蔵書する「ひとの本棚」をスタートさせた。蔵書の帯にはそれぞれ、その人がこの本を読むことになったきっかけのエピソードが記されるなど、温もりのあるスペースが展開されている。
また旧教室の1室では、まだ使える家庭内の不用品を持ち寄る、「物々交換の部屋」を運営中。日用品や雑貨、衣類など、不要になった物を持ち込んで展示するスペースで、持ち込んだ点数だけ他の物品を持ち帰ることができる仕組みで、物を通した地域住民の交流の場となっている。
「もったいない研究所」のスタッフは現在4名。こうした大掛かりな場の運営は、もちろん初めての経験であり、まだまだ手探りの状況だと岡さんは言う。しかし、その表情は実に晴れやかだ。
「まだまだわからないことだらけなりに、懸命に走り続けている感じです。でも、やりたいことはやれている満足感はありますし、ここをやっていなければ接点がなかった人たちに会えたのが嬉しいです」
昨年11月には「TSURUTA LABO」の開設から1周年を迎え、述べ来場者数は3万人を数える。津軽の片田舎の施設としては、立派な滑り出しだろう。
何より、生き生きと働く岡さんの様子に、両親も一安心しているはずだ。
「好きにやればいいと言ってくれているので、少なくとも会社員時代のようにハラハラさせてはいないと思いますよ(笑)。結局、UターンでもIターンでも、あるいはその場に留まるのでも、背水の陣にしてはいけないんですよね。馴染まなければ別の場所を探せばいいわけですから」
そんな気軽さこそ、岡さんのUターンを成功させた一番の要因なのだろう。
捨ててしまうには“もったいない”不用品を持ち寄る「物々交換の部屋」 Photo by Satoshi Tomokiyo
津軽弁が印象的な岡詩子さん 写真提供/本人









