佐藤優 知を磨く読書イランの第3代最高指導者に選ばれたモジタバ・ハメネイ師(最高指導者事務所提供) Photo:AFP=JIJI

最前線で働くビジネスパーソンが押さえておきたい、時代の変化とその背景を理解する上で欠かせない注目書籍を作家で元外交官の佐藤優さんが厳選する。自分のことばかり話すモテない中年男性は、なぜ人の話を聞けないのか?イランが自国の生き残りにとって死活的に重要と考えている国は?ビジネスパーソンがあまり時間をかけずに哲学史を知るための最良の参考書とは?『モテない中年』『タリバンの世界』『詩哲学』の3冊から「ここだけは読んでほしい重要な箇所」を抜粋して紹介する。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優)

自分のことばかり話すモテない中年男性
なぜ人の話を聞けないのか

 坂爪真吾著『モテない中年』を読むと、これは絶対に嫌われるというような人の事例が次々と出てくる。反面教師列伝のような本だ。もちろん坂爪氏は長年の経験に基づく優れた処方箋も示している。評者が外務省でよく見掛けたのが以下の事例だ。

書影坂爪真吾著『モテない中年 恋愛格差と孤独を超えて』PHP新書、2026年2月刊行坂爪真吾著『モテない中年 恋愛格差と孤独を超えて』PHP新書、2026年2月刊行

〈中高年男性には、とにかく人の話を聞くことができない人が一定数存在する。仕事の場や飲み会などの席でひたすら自分のことしか話さない人や、自慢話しかしない人、一方的に話し続ける人が少なくない。正確に言えば、彼らは「人の話を聞かない」のではない。「聞けない」のだ。
 自己効力感と自己肯定感が十分に得られていないため、まず「自分はすごい」ということを示して、相手に対してマウントを取らないと、コミュニケーション自体ができない。つまり、目の前の相手と対等な関係で話すことができないのだ。常に上下関係を意識したやり取りしかできない。これは話している本人にとっても、話を聞かされている周りの人にとっても、極めて不幸な状態である〉(134~135ページ)

 結局、こういう人の場合、最後まで性格が変わることはなかった。評者は、神様が生まれる前からそういう性格に定めたのだと考え、そういう人とは極力、接触しないようにした。接触すれば摩擦熱が発生するからだ。