診療所の入り口。ドアは常に開いている Photo:DOL

 サマータは続ける。

「治療方法は、神から教わった。ある日寝ていたら、夢を見た。夢のなかで神は私にアラビア語で治療の方法を教えてくれた。これがその治療法を書き留めたものだ。その翌日、私はヒーラーとして地域の病気の人々を助けようと、この地にやってきた」

 サマータはそういって、紙を見せてくれた。だが実際、サマータはアラビア語は話せない。どうやってアラビア語を話す神から治療法を授かったのか、不明だ。

アラビア文字が書かれた紙を見せてくれる祈祷師サマータ Photo:DOL

 1日に5人、地域の人の治療にあたる。料金については「患者の所得に応じて、払ってもらう」(サマータ)。

 ちょうど30歳代とおぼしき患者がサマータを訪ねてきた。名前はジュマ・サイーディ。テメケ地区でペンキ塗りをやって生計を立てているという。一日の収入は「だいたい1万5000タンザニアシリング(約930円)」。

 数日前から胸が痛み、体のだるさが抜けないという。以前、サマータのところを訪れて薬をもらい、それがなくなったから今回訪れたという。

患者に服薬指導をするサマータ。後ろに見えるのはサマータが揃えた薬だ Photo:DOL

「なぜ、サマータのところに来るのかって、それは政府の病院の治療費や薬は高いし、何をされるのかわからない。サマータは昔から知っているし信頼している。具合が悪くなったらサマータに診てもらい、どうしても直らなかったら病院に行く」

 ちなみに薬とは、右写真にある木の根などだ。どの木が薬として有効なのかについての知識も、サマータは神から授かったのだと言う。

 テメケ地区で胸の痛みや体のだるさ、咳が続くと聞けば、すぐに結核という病名が頭に浮かぶ。素人でもその可能性を疑うところだが、病院に対する恐怖心や費用が高いのではないかという思いから、なかなか地域の人々は足を向けない。