Photo:Wong Yu Liang/gettyimages
日本の造船メーカーは中国、韓国に比べて規模が小さい。最大手の今治造船と2番手のジャパン マリンユナイテッドを合計しても中韓勢の大手メーカーには及ばない。そこで、日系メーカー各社は設計や受注における連携で生き残りを模索している。特集『なるか造船復活 嵐の出航』の#5では、激変期にある造船業界の勢力図を示すとともに、技術力で日本の造船をリードしてきた三菱重工業とその子会社、三菱造船の足元の戦略に迫る。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)
再編を迫る国交省からの強烈なメッセージ!
かつての盟主・三菱は業界連携にどう動く?
「今後は1~3グループ体制に集約する」。2025年末に国土交通省が造船業再生の道のりを示した資料の中の一文が、業界関係者に波紋を広げた。日本の造船業界は再編が進んだとはいえ、巨大な国有企業を擁する中国勢と財閥が率いる韓国勢に比べて小規模な造船メーカーが多い。
唐突な政府の再編方針を、日本造船工業会の会長で今治造船の社長でもある檜垣幸人氏は「厳しい時代を生き残った造船メーカーにはそれぞれ強みがある。さらなる再編は考えにくいのではないか」と受け止めた。
今治造船がそうであるように、現在力を持っている造船メーカーは非上場のオーナー企業が多い。ファミリービジネスであるが故に、単純な経済合理性と資本の論理だけで、さらなる企業の統合に突き進むのは簡単ではないとみられている。
そこで、現実的には資本提携に限らない連携が模索されている。取材を進めると、連携には比較的スムーズに進んでいるスタイルがある一方で、ハードルが高いパターンもある事情が見えてきた。
連携の鍵を握るのは、かつて造船業界の盟主だった三菱重工業と、同社が18年に設立した、商船部門を担う完全子会社の三菱造船の動きだ。
三菱重工は近年、商船を縮小して艦艇に注力している。三菱造船の新造船は山口県の下関造船所に絞り、フェリーやRORO船(ロールオン・ロールオフ船、貨物を積んだトラックやトレーラーを運ぶ船)、海上保安庁向けの巡視船などニッチな船を手掛けている。船を造るだけでなくLNG(液化天然ガス)燃料船で使うガス供給システムや、設計ノウハウを生かした他メーカー支援も主力事業として掲げてきた。そんな同社の戦略に足元で変化の兆しがあるのだ。
次ページでは、激動の造船業界の“現在地”を示す勢力図を掲示し、連携が進みそうな事例と、逆に一筋縄ではいかない事例の違いを明らかにする。技術力で日本の造船をリードしてきた三菱造船は激変期にどう動くのか。同社の戦略も詳報する。







