モンゴル人と日本人は、パッと見、区別がつかないほど顔がよく似ていることが多い。しかし、顔が似ているから性格も同じ、とは限らない。

 考えてみれば、彼らの祖先は自然のありようにその生き方を重ね合わせてきた遊牧民。テクノロジーで自然を操ることで生き延びようとする農耕民族とは、文化も考え方も違っているのが当然だ。

 日本の大手商社に勤めるモンゴル人、ツェンドスレン・ドゥルゲーンさん(29歳)へのインタビュー後編では、2つの文化の違いにも触れながら、モンゴル人の目から見た日本の姿を追った。

テレビ、冷蔵庫、パソコンも使う遊牧民
物価高に苦しむ都市生活者たち

――前編で首都のウランバートルに人口が集中しているという話が出ましたが、これは、伝統的な遊牧ではもはや生活が成りたたなくなってきている、ということなのでしょうか?

ツェンドスレン・ドゥルゲーンさん(29歳)

 というよりも、彼らが新しい価値を求めて動き出したということだと思います。親世代のように乳製品や革製品を作って生きるよりも、都市での生活を好み、子どもの教育ももっと考えましょう、というようになってきている。

 放牧民のほとんどは今、ゲルの中にテレビや冷蔵庫を持っています。太陽光発電を利用して、パソコンも使っている。自動車やオートバイの所有率も年々高くなり、近代化が進んでいますから、昔のままの生活という訳にはいきません。

――昔ながらの文化や伝統を守るべきだ、という声もあるのでは?

 もちろん、そういう方たちもいます。でも、経済の勢いは圧倒的ですから、誰もその流れには逆らえないでしょう。

 モンゴルはもともとチベット仏教の国ですから、決して経済的な豊かさだけを追い求めている訳ではない。それは確かです。しかし、目先の生活をどうしていくか、子どもたちをどうやって食べさせていくか、ということの方が、今は宗教的な問題よりも大きいのです。というのも、モンゴルの物価は、日本とほとんど変わらないくらい高いですから。

 私もこのごろ、帰るたびにびっくりします。もう、洋服などは、日本で買った方がデザインもいいし、安いんじゃないか、と思うくらい。

 モンゴルでは、生活物資のほとんどは中国や韓国からの輸入品です。国内に製造業がほとんどありませんから、もともと物価が上がりやすいんです。