エスカレーター校 クライシス2#4Photo:PIXTA

東京家政学院は大学を共学化し、中高は法政大学の系列校になるという、最大の転機を迎えている。なぜ自力で一貫教育を続けることを貫かなかったのか。他の女子エスカレーター校は自力で共学化して生き残ろうとしているが、それで生き残る道は開けるのか。連載『教育・受験 最前線』では、連載内特集『エスカレーター校 クライシス2』をお届けする。#4では、大学を共学化した首都圏のエスカレーター校について、ダイヤモンド編集部独自の「裏成績表」を公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

ご近所の法政大学と手を組み
中高が系列校に

 中学、高校、大学を運営する東京家政学院は100年を超える歴史の中で今、最大の転機を迎えている。2026年4月に東京家政学院大学を完全に男女共学化、そして27年4月には東京家政学院中学校・高等学校が法政大学の系列校になるのだ。学校名は「法政大学千代田三番町中学校・高等学校」に変更する。今は女子校で、共学化は今後適切な時期に検討を行う。併せて大学間も単位互換をはじめ教育面での連携を進める。

 東京家政学院は都心の千代田区と郊外に二つのキャンパスを構えており、どちらのキャンパスも法政大学とは“ご近所”。東京家政学院中高は好立地な都心キャンパスの方にあるため、法政大学だけでなく、他の有名学校法人も系列化を名乗り出ていた。明治大学はキャンパスに近く好立地な東京・世田谷の日本学園中学校・高等学校を今春に系列化しており、立地は有力な系列に入って生き残るときの鍵になることが分かる。

 モテモテとなった東京家政学院ではあるが、そもそもなぜ歴史あるエスカレーター校として自力で一貫教育を続けることを貫かなかったのか。ダイヤモンド編集部が独自に作成した「裏成績表」を見ると、理由は一目瞭然だ(下表参照)。

 裏成績表は経営周りのデータ(24年度実績)を軸に、5項目を5段階で評価したもので、東京家政学院は評価項目の一つ、「(2)稼ぐ力」が5段階の最低評価である「1」となった。稼ぐ力の指標である「経常収支差額比率」は企業の売上高経常利益率に当たり、これが▲17.5%と大幅な赤字。とりわけ大学の定員が埋まらないことから、収入がコストを賄い切れない状態に陥っている。

 他の四つの評価項目、「(1)稼ぎの規模」「(3)学生を集める力(大学)」「(4)財務健全性」「(5)財務情報の公開度」は全て評価「2」。稼ぎの規模の指標は企業の売上高に当たる「事業活動収入」、財務健全性の指標は自己資本比率に当たる「純資産構成比率」であり、これらの評価が振るわないということは規模が小さくて体力がない。こうした経営状況で自力の再建を行うのは難しいと判断したのだ。

 とはいえ、経営の苦しい女子エスカレーター校で、女子大を共学化して自力で生き残ろうとしているところは多い。無理してでも共学化すれば生き残れるという希望を持っているわけで、目下は共学化ラッシュが続く。

 次ページでは、首都圏エスカレーター校のうち、2000年以降に女子大を共学化した4学校法人、武蔵野大学、文京学院、松蔭学園、東京純心女子学園の裏成績表を公開する。果たして彼らは生き残る道を見いだせたのか。東京家政学院はこの先、どんな道を歩むのか。