台湾大手の中国信託商業銀行が週明けにも、東京スター銀行の買収について、株主団と基本合意する方向で最終調整に入っていることが分かった。複数の関係者が明らかにした。

 買収価格は、東京スターが実施を検討している増資の引き受け分を含めて、600億円規模とみられる。基本合意後、中国信託は金融庁に株取得に伴う認可を申請し、経営権を握る株主として適正かどうか、銀行法上の審査を受けることになる。認可されれば、外国の銀行による初めての邦銀買収となり、注目を集めそうだ。

紆余曲折を乗り越えて外銀初の邦銀買収に王手
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 中国信託は、認可申請と並行して東京スターの経営陣に接触し、買収の経緯や今後の事業方針などを説明する見通しだ。

 東京スターの実質的な株主となっている、米投資ファンドのローンスターや新生銀行、仏金融機関のクレディ・アグリコルなどは昨夏から、財務アドバイザーに就いている野村證券を通じて、中国信託と株の売却に向けた交渉を進めていた。

 交渉の過程で株主団は、昨秋から続く日本の株式相場の上昇を受けて、中国信託に買収価格の引き上げを求めていた。そのため、交渉が一時延期されるなど雲行きが怪しくなる場面もみられたが、最終的には価格面で双方が歩み寄ったようだ。