Photo:PIXTA
中東情勢の緊迫化で原油高が続くなか、産油国ブラジルには資源収入拡大の追い風が吹く。だが食料・エネルギー価格の上昇でインフレは再燃し、利下げ継続や財政運営に不透明感が増す。底堅い内需と過去最高の原油生産に支えられる一方、補助金政策の長期化は金利、通貨レアル、株価の重荷となりかねない。(第一ライフ資産運用経済研究所主席エコノミスト 西濵 徹)
原油高が追い風となる
南米の産油国ブラジル
中東情勢の緊迫化が長期化するなか、湾岸産油国は減産を余儀なくされる一方、ブラジルは南米有数の産油国であるうえ、深海油田(プレサル)の好調な開発も進んでいる。
結果、同国の3月の産油量は日量424万バレルと過去最高を記録するとともに、OPEC(石油輸出国機構)は同国がさらなる生産拡大に動くとの見通しを示している。同国の原油や石油製品、天然ガスの貿易収支はGDP(国内総生産)比1.7%の黒字と試算される。
中東情勢の緊迫化をきっかけとする原油価格の上昇は、マクロ的に同国経済の追い風になることが期待される。そのうえ、同国は一次エネルギーに占める原油比率は35.6%、天然ガス比率は8.6%である一方、バイオ燃料比率は33.4%、水力比率は11.4%と再生可能エネルギーの比率が高い。したがって、エネルギー価格上昇の影響は、他国と比較して限定的であると見込まれた。
なお、同国のインフレ率は、2025年末以降に中銀目標(3プラスマイナス1.5%)のレンジ内に収束し、2月には前年同月比3.81%に鈍化したため、中央銀行は3月の定例会合で約2年ぶりの利下げに踏み切った。
エネルギー価格の影響が限定的、インフレが落ち着き利下げとなれば経済は順調に拡大していきそうに思われる。次ページでは、今後のブラジル経済の先行きについて検証する。









