テレビパソコンをご存じだろうか? パソコンでテレビを視聴し、録画できるモデルのことだ。テレビパソコンは、これまでもある程度の人気があり、特にデスクトップでは地上デジタル放送が見られるパソコンを買うユーザーも多かった。
しかし、アナログ放送やワンセグなら、パソコンにチューナーを買い足して組み込むと、テレビパソコン化することができる。つまり、普通のパソコンをテレビパソコンに変身させることができた。それに対して、地デジはこれまで単体のチューナーが発売されていなかった。ところがこの5月、各社から一斉に発売がアナウンスされた。
バッファローが販売する地デジチューナ-「DT-H30/U2」(定価21000円)。気軽に使えるUSBの外付けタイプだ。 |
「従来は、単体の地デジチューナーに対する規格そのものが決まっていなかったのです。ようやく規格が定まって発売できるようになりました」
バッファロー事業本部市場開発事業部DHマーケティンググループリーダーの中村智仁氏はこう語る。
周辺機器メーカーにとっては、待ちわびたいわば「解禁」である。
「周辺機器メーカーは、ちょっと古いパソコンに周辺機器を追加することで、最新機種のように便利に使えるようにするのが仕事です。そう言う意味では、テレビパソコンを自分で作れるようになったのは朗報です」と中村氏。
ただし、高画質の地デジはデータとしてもヘビーなため、チューナーを組み込んだとしても古いパソコンでは動作しない。バッファローでは、動作環境をチェックするためのソフトウェアを用意し、ダウンロードして使える仕組みを用意しているという。さらに、少しでもパソコンへの負荷を軽減するために、リアルタイムでDVDビデオ程度の画質に落とす「トランスコード機能」を搭載しているという。
最近、NECがホームサーバーを発売するなど、パソコンを取り巻く地デジの環境が変化しつつある。これまでテレビパソコンは、テレビとパソコンの1台2役として使うための機種が多かった。数年前までは30型を超える大画面液晶を搭載したモデルまであったのだ。
ところが、今やリビングに置くテレビは、液晶やプラズマなど大画面タイプが主流になっている。パソコンメーカー各社は、書斎やワンルームなどで視聴する、サブテレビ的な使い方か、サーバーとしての役目をテレビパソコンに持たせようとしている。バッファローでも、今後はサーバー的な役割を持てる後付けチューナーを開発していく予定があるという。