「石の上にも三年」とはよくいわれますが、変化の激しい現代において、20代の貴重な時間をどう過ごすかは今後のキャリアを大きく左右します。「20代のうちに、成長確度を極限まで引き上げられる環境に身を置きたい」「もっと手触り感のある戦略的な仕事をしたい」という思いが、彼女を転職活動へと突き動かしました。

遠回りして見つけた
「本当に譲れない軸」

 彼女の転職活動は、筆者との初回面談から転職先の最終決定まで約1年という長期に及びました。

 活動を始めた当初、彼女は1社から内定を獲得しました。しかし、並行して選考が進んでいた他企業の結果が出そろわず、納得のいく比較検討ができないまま決断することを避けるため、最終的に内定を辞退します。

 さらに、現職で希望していた仕事に近い事業企画のポジションへ異動できる可能性が浮上したため、一度転職活動自体を保留する決断を下しました。

 せっかくの機会を手放し、転職活動を一時ストップすることには少なからず迷いもあったはずです。しかしそれは、キャリアの選択に決して妥協しない彼女の姿勢の表れでもありました。

 数カ月後、希望していた部署で業務を経験したAさんは、一つの大きな気づきを得ます。それは、「社内調整を重ねながら全体を動かす仕事よりも、過去に経験した営業やマーケティングのように、自身の判断を直接仕事へ反映し、結果が数字として返ってくる仕事のほうが自分には合っている」ということでした。

 転職活動の休止中も、筆者はAさんの希望に沿って数カ月置きに状況をうかがっていました。「いつでも相談しに戻ってこられる場所」として関係性を維持していたこともあり、翌年の春、キャリアアドバイザーである私からのコンタクトを機に、彼女は転職活動を本格的に再開します。

 彼女の転職軸は、休止前よりも洗練されていました。 彼女が求めていたのは「大きな事業に携われる基盤は持ちつつも、個人の判断や働きがより事業に近いところで反映される環境」でした。これまでの実績もあり、自己応募を含めて外資系消費財メーカーやIT通信事業会社など、複数社から次々と内定を獲得します。