ブレずに「本来の目的」を
探し続けた結果

 しかし、選択肢が増えれば増えるほど、「職種も業界も異なる中で、どの道を選ぶべきか」という新たな迷いが生じます。「内定は出たけれど、本当にここに行くべきなのだろうか」と決断を前に足踏みしてしまうのは、キャリアに真剣に向き合っているからこそ経験する葛藤です。

 そこで筆者は、「転職の本来の目的はその企業で解消されるのか?」という本質的な問いを投げかけました。現職にとどまった場合や、自己応募の企業への転職を選んだ場合も含めて、「仮にこの先再び転職するとなったとき、今後どんな経験をしておけば、将来どんなキャリアが描けるだろうか」という中長期的な出口を見据え、筆者はAさんと横並びの目線でメリット・デメリットを共に整理しました。

 このように徹底して客観的かつフラットなサポートを心がけたことが、彼女の納得のいく意思決定へとつながったのだと感じています。

 最終的に彼女が選んだのは、これまでとは全く異なる業界である大手グローバルインフラ会社の総合職でした。内定承諾時点では具体的な配属部署や役割は決まっていませんでしたが、筆者との対話を通じて見極めた、大手でありながらも携われる「事業のスケール感」と中長期的に市場価値を高められる「成長確度の高さへの期待」が、彼女の大事にしたい転職の軸に最も合致したのです。

 企業側も、Aさんの他部門や上層部を巻き込みながらプロジェクトを推進していくリード力を、異業界でも再現性のあるスキルだと評価しました。結果として年収面も大幅にアップし、さらなるキャリアアップを目指せる新たな環境へと彼女は羽ばたいていきました。

最良の選択をするために
未来の可能性を思考する

 彼女が納得のいく転職を実現できた最大の理由は、「目の前の選択肢に飛びつかず、自身のキャリアの現在地と、新たな選択による未来のキャリアの可能性を思考し続けたこと」にあるのではないでしょうか。

 多くの人は、一度転職活動を始めると「早くどこかに決めなければ」と焦りを感じてしまいがちです。しかし彼女は、現職への残留や自己応募での内定を含め、あらゆる選択肢をテーブルに載せ、「仕事を通じてどのような成長を遂げ、どのようなキャリアを築いていきたいのか」という本質的なキャリアの方向性と合致するかどうかを冷静に判断しました。