数値目標がない会社のほうが伸びている!?
――「あたらしい働き方」を可能にする組織のヒミツ

南壮一郎(みなみ・そういちろう)1999年、モルガン・スタンレー証券に入社。2004年、幼少期より興味があったスポーツビジネスに携わるべく、楽天イーグルスの創業メンバーとなり、初年度から黒字化成功に貢献。2007年、株式会社ビズリーチを設立。日本初の個人課金型会員制転職サイト「ビズリーチ」を運営。2010年、プレミアム・アウトレットをイメージしたECサイト「LUXA(ルクサ)」を開始。2012年、ビズリーチのアジア版「RegionUP(リージョンアップ)」をグランドオープン。2013年、IT・Webエンジニアのためのコラボレーションツール「codebreak;(コードブレイク)」をオープン。

 取材された日本の会社には、何か面白い事例はありましたか?

本田 「目標がない」とか「目標を作らない」というチームラボのような会社が、けっこう面白いなと思った。俺の中では考えられないことなんだけどね。

 ただ、「目標がない」の裏返しに彼らが言いたいのは、社員全員の根底に「最高の仕事をやろう」という暗黙の了解があるということ。いいものができてくれば結果的に会社の売り上げも上がるし、会社のバリューも上がっていくから、あえて数値目標を作る必要がないということなんだろうな。実際に、それでちゃんと結果が出ているしね。今の若い子たちは、数字を示して「バリバリやってこい!」っていうマネジメントではないほうが上手くいく子たちも多いんだなっていうことをすごく感じた。ただ、俺はそういうマネジメントはできないなって思ったけど(笑)

 昔は数値目標なしでやっても、きれいごとだけで結果が出ずに終わったと思うんだ。けれど、今はそれでビジネスになっているし、会社も伸びている。そういうやり方もあるんだなというのは、俺にとってもすごい学びだった。

 日米の企業、いくつかお話いただきましたけれど、いい会社で働く人の共通点って何でしょう?

本田 いい会社で働いている人たちって、「いい仕事をしましょう」とか「この数字を達成しましょう」とかを誰かに言われるのではなく、自らそれを目指しているよね。言いかえれば、「いい仕事をしたい」という欲求が、個々のなかでものすごく強く存在している。たとえばある会社は、目標に関して上司からの指示はなく、自分で目標設定をするという。だったら、低めの目標を出しておいて、年度末に「これだけ達成しました!」って主張するヤツがでてきそうなものだけど、「そういう人はウチにはいないです」って。みんな当たり前のように、期待値以上の目標を作るんだって。それが社員たちのプライドなんだろうね。

 もともと視座が高いんですね。

本田 そう、異常に高い。だから、誰かに「がんばれよ」って言われる必要もない。今の時代、会社が伸びる要素のひとつに視座の高い人が集まっているかどうかがあるんだろうね。