これからの2週間が、勝負を分けることになりかねない。

 交渉参加の是非をめぐって日本の世論を二分したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)。8月下旬にブルネイで開かれた交渉会合に日本は事実上初参加。今後、9月18~21日には米国で非公式会合が開かれ、この場で各国が主張を持ち寄って、合意に向けた議論を加速させるとみられる。

 これを基に10月に開催されるAPECの場を利用して次回交渉を行い、同月8日の首脳会合では基本合意にこぎ着ける構えだ。

異例の日程前倒し、予定外の閣僚会合も、米国の意向とされる。写真は記者会見を行う交渉参加国の閣僚ら
Photo:JIJI

 遅ればせながら交渉のテーブルに着いた日本も、非公式会合で自国の主張を展開させたいところだが、実はまだ肝心なところで意見集約に至っていない。

 それはTPP最大の関心事である関税の策定ルールをめぐる取り扱いだ。全参加国で同じルールを設定すべきという共通方式を産業界が推すのに対して、農業界は2国間で個別に関税を決める方式を支持。議論は平行線をたどっているのだ。政府は両者の間で板挟みの格好だ。

 そもそもこの問題は、交渉参加国の間の対立に端を発する。米国とオーストラリアが真っ向からぶつかり合っているのだ。

 砂糖や乳製品、繊維製品などで国内産業を守りたい米国は2国間方式、オーストラリアなどは共通方式を主張。結論を棚上げにしたまま、関税についてはとりあえず個別の2国間で話が進められているが、日本政府の決断次第ではどちらかを利する可能性があるだけに悩ましいところだ。

 しかし、いかに国内調整が困難を極めても、残された時間はあとわずか。あいまいな態度に終始していたらつけ込まれるだけだ。