「いかなる組織構造であっても、組織として最小限満たさなければならない条件がある。すなわち、明快さ、経済性、方向付け、理解、意思決定の容易さ、安定性と適応性、永続性と新陳代謝である」(『マネジメント──基本と原則[エッセンシャル版]』)
第1に、組織は、明快でなければならない。構造が明快でない組織は組織ともいえない。鵜合の衆にすぎない。明快でなければ、無用の摩擦、時間の浪費、果てしない論議が日常茶飯事となる。組織マニュアルを携行しなければならないようであってはならない。
第2に、組織は、経済的でなければならない。人を動かすうえで必要とされるものは少ないほどよい。「優れた組織構造とは、自らをマネジメントし、自らを動機づけられる組織である」。
第3に、組織は、あらゆる関心を成果に向けさせなければならない。「成果こそ、全ての活動の目的である」。成果よりも努力を重要とする組織であってはならない。
第4に、組織は、全員が、自らの仕事と全体の仕事を理解できるようになっていなければならない。仕事は常に具体的かつ個別的である必要がある。
第5に、組織は、意思決定が容易でなければならない。的確なレベルで決定を行い、仕事に移し、成果に結び付けられなければならない。「常に高いレベルで意思決定を行わざるを得なくなっている組織構造は、意思決定にとって障害以外の何ものでもない」。
第6に、組織は、安定し、かつ適応していかなければならない。組織内の人間にとっても、家が必要である。「待合室では仕事はできない」。だが、安定と硬直とは違う。新しい状況、条件、顔、性格に適応していかなければならない。
第7に、組織は、永続し、かつ新陳代謝していかなければならない。明日のリーダーを内部から調達できなければならない。「組織構造は、組織内の人材が仕事を通じて学び、成長していくことを助けるものでなければならない」。
しかし、これらの条件をすべて満たす組織構造はない。そこで、職能別、チーム型、連邦分権型、システム型などの組織構造を組み合わせて使っていくことが必要となる。
「全ての条件を常に完全に満足させる組織構造はない」(『マネジメント[エッセンシャル版]』)