「経営管理者には二つの特有の課題がある。彼ら以外の者では果たせない課題である。それらを課された者は、全て経営管理者であるという課題である。第一の課題として、経営管理者は、部分の総計を超える総体、すなわち投入された資源の総計を超えるものを生みださなければならない。第二の課題として、経営管理者は、あらゆる意思決定と行動において、当面するニーズと長期のニーズを調和させなければならない」(ドラッカー名著集(3)『現代の経営』[下])
ドラッカーは、経営管理者すなわちマネジメントの地位にある者の仕事について、ドイツ帝国の宰相ビスマルクの言を引く。「文部大臣になることは易しい。長くて白いひげがあればよい。だが、コックはそうはいかない。能力が必要である」。
マネジメントにも、白いひげ以上のものが必要である。名刺や名札や机の配置以上のものが必要である。
第1に、自らに託された資源、特に人的資源の強みを引き出し、弱みを意味のないものにしなければならない。それが、組織として、部分の総計を超える総体を作り出す唯一の方法である。部分を見つつ全体を見る。全体を見つつ部分を見る。オーケストラの指揮者のように、オーケストラ全体の音とともに、第2オーボエの音を聴く。
事業全体のいかなる業績の改善が必要か、そのためには個々の活動において何が必要かを考える。同時に、個々の活動のいかなる改善が可能か、その結果、事業全体のいかなる業績の改善が可能かを考える。