日本国内のビジネススクール設置が盛んになったことで、MBAを目指す社会人の人気は、『留学派』と『国内進学派』という真っ二つに分かれてきたように見える。さらに顕著なのが、国内のビジネススクールの2極化だ。英語でも講義を行ない、日本にいながら海外留学と同様の人材養成を実施するビジネススクールが先駆者であり、主流であったところに、日本型もしくはサムライ型とでも言えばいいのか、日本語で学ぶことを基調としたビジネススクールの伸びが目覚しい。

 かつてからの『海外留学MBA』に第一世代の国内ビジネススクールを加えたクラスターが、英語力を兼ね備えた経営幹部候補生の養成機関であったとすると、サムライ型のビジネススクールは、「英語力」のことは脇においている。MBA=英語使い、という図式は、もはや常識ではないようだ。

 学生にしてみれば、いい面が多い。英語をまず学ぶ、というハンディキャップなしにグラデュエイト・レベルでの勉強ができること、入学ができること。むしろこの層に優秀な人材が隠れていることはよくあることだ。

 一方で、かつてからの「海外留学+英語で講義」は、英語力があることのアドバンテージが際立つだろう。活躍の主なフィールドで考えれば、外資系MBAと民族系MBAタイプが誕生したといってもいい。つまり、棲み分けが出来つつある。

 この差異は、実は『大学院の通い方』の問題でもある。留学するためには、最低限でも休職、通常は退職を余儀なくされる。ハイレベル人材の流動性が極めて高いアメリカではMBA取得後のほうがパーソナルデータがよくなり、求職はむしろ容易になる。ビジネススクール進学はかなり確実な自分への「投資」である。

 一方、日本に戻ってくることになると、場合によっては職場が限られ、年齢が問題視され、復職は普通叶わず、ヘッドハンターが持ち込む仕事の質も見劣りすることが珍しくない。留学が吉とでるか凶とでるかは、意外と水物なのだ。

仕事を辞める必要なし
忙しいビジネスマンのためのビジネススクール

 サムライ系のビジネススクールは、この点を熟知した上で後発しているため、非常に「学校の作り方」ので出来がいい学校が少なくない。前置きが長くなったが、今回紹介する明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科、通称明治大学ビジネススクール=MBSもそういう学校である。

 入学試験は書類審査と面接。講義は土日開講で、平日は18時55分以降に、2コマの枠がある(最終の講義の終了は22時である)。そして所在地は、神田駿河台。サテライトではなく、大学の中枢だ。アクセスは地下鉄が5線3駅、ほかにJR中央線・総武線もある。

 仕事を辞める必要もなく、通学が容易。優秀な人間ほど忙しいという日本の事情をよく理解している人間が作ったことがよくわかる。

 カリキュラムも興味深く、不動産ビジネスの専門家が専任教員にいる。法制度がまったく違うため、留学では学びにくい分野である。こうしたところも妙にサムライっぽいのである。

明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科(明治大学ビジネススクール=MBS)