憤懣やるかたない口調だった。

 前回このコラムで、「道路特定財源を応能税として捉えなおし、一般財源化せよと書いたら、北海道と九州の市長、町長二人から、「地方の惨状、東京との格差を知らぬ者の一方的主張だ」と、強烈なお叱りの電話をいただいた。

 「道路特定財源の一般財源化」に火をつけたのは、小泉純一郎元首相である。族議員、地方自治体、自動車工業会などの関連業界の猛烈な反対を受けて果たせず、引き継いだ安倍晋三前首相は昨年一二月、「道路整備に必要な財源を上回る税収分だけを一般財源化する」という妥協の産物で決着させた。

 しかし、福田康夫首相はそれさえも慎重な姿勢に後退している。それだけ抵抗勢力の勢いが増している、ということだ。福田内閣が打ち出した地域格差是正の目玉だ、とすら意気込んでいる。

 電話をいただいた市町長とは、それぞれ30分ほど問答を繰り返した。

 第1に、「熊しか通らない道路」の例えどおり、もはや道路整備は有効な社会資本形成には結びつかない。第2に、公共事業を全国にいくらばらまいても経済活性化、景気回復には役に立たず、借金がかさむだけであることは小渕政権の失敗で証明されている。第3に、地方の公共事業は“国内ODA”と揶揄されるほど族議員、建設会社社長などの有力者による中抜きが多く、地元の人々におカネは回らない。第4に、公共事業を行なうならば都市部のほうがはるかに効率的だ――縷々説明する私に、相手はついにキレた。