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「スノーデン問題」で米国IT企業がとった
“まずい態度”とは?

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第270回】 2013年11月13日
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最初は政府の言いなりだったのに
今は「非道」と言うわけは?

 たとえばグーグルやヤフーの場合は、世界各地に設置されたデータセンターを結ぶ内部のネットワークでのやりとりをNSAが傍受していたという。データセンターを結ぶのは、各社が自前で設置しているプライベートなネットワーク。そこへこっそりとNSAがアクセスしていたとは、グーグルもヤフーも寝耳に水のできごとだったようだ。

 グーグル会長のエリック・シュミットは、「もし事実だとしたら、NSAがやっていることは非道だ。自分たちの目的を達成するために、人々のプライバシーを踏みにじるとは、まともな判断力を欠いており、許されることではない」と述べている。

 また同社の最高法務責任者であるデビッド・ドラモンドは、「わが社は長い間、こうしたタイプのスパイ行為があるのではないかと懸念してきた」と述べ、「われわれのプライベートネットワークにまでアクセスしてデータを傍受しようとする政府のやり方には、憤りを感じている。緊急に規制改革が必要だ」としている。

 グーグルは、ネットワークの暗号をさらに強化し、一方でフェイスブック、アップルなどと共同で議員らに呼びかけ、政府への情報提供を透明化し、さらにNSAの行き過ぎたやり方をくい止める政策を推し進めるよう圧力をかけている模様だ。

 こうした流れの中で、テクノロジー企業はユーザーの不信感を大いに高めてきたことは確かだ。最初は政府に協力して、プログラムの存在すら隠し、次には取り繕って一部の情報開示を行った。

 だが、それ以上の情報が傍受されていたことをテクノロジー企業自体も知らなかったとは、各社の技術上の不信感を抱かせるに十分だ。

 テクノロジー企業の内部でも、一部のエンジニアたちがこうした事態を嘆いているというが、一般ユーザーは、政府への不信感はもとより、テクノロジー企業が最終的にいったいどんなスタンスに立つのかがまだ見えない。情報開示がほんの一部に終わっているように、政府に協力せざるを得ない各社のプレッシャーの結果もほんの一部に終わることになるかもしれない。

 テクノロジー企業が本当にユーザーの味方になるのか。あるいは、国土の安全を確実にしたい政府と、プライバシーを護りたいユーザー両者にとって納得の行く解決策を導き出すことができるのか。この問題は、まだまだ終わることはない。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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