金融緩和政策によって日本経済の状況が改善していると考えている人が多い。しかし、こうした見方は、データによって裏付けることはできない。

悪化する景気判断と消費者心理

 図表1は、内閣府の景気ウォッチャー調査による「景気の現状判断指数」を示したものである。

 10月の指数は51.8となり、前月より1.0ポイントの大幅な下落を示した。10月の指数が低下したのは、9月の指数が上昇しすぎたことの反動もあったろう。また、台風が相次いだため、消費が抑えられたことの影響があったとも言われる。

 確かに、そうした事情は否定できない。しかし、低下の原因は、それだけではない。図で明らかに見られるように、指数は3月がピークで、それ以降はほぼ継続的に低下しているのだ。

 また、図に示すように、住宅関係の指数が10月には対前月比7.6ポイントの低下と、大きく落ち込んだことも注目される。これは、住宅の駆け込み購入が9月末で一巡したことを示すものかもしれない。

 他方で、賃金が上がらず物価が上がっている。このため、消費者心理は悪化している。これは、内閣府の消費動向調査に表れている。消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、10月には41.2となり、前月から4.2ポイント低下した。消費者態度指数を構成する4項目すべての意識指標が低下した。

 大型の台風が関東を直撃するなど特殊要因があったためと説明されることもあるが、指数は、9月を例外として4月から悪化を続けていることに注意が必要だ。悪化は10月だけの特殊事情ではないのである。