読書ノートなら財産にできる

 最後に、なぜ読書ノートをつくると本の内容がより頭に入るのかを説明しておきましょう。

 まず、読むときに読書ノートに記録することを前提とすることで、読み方が「ぐっとくる箇所」を探す作業になってくるからです。「作業」というと、いい印象を持たないかもしれませんが、あくまで読書ノートをつくるための工程だという意味です。ノートに盛り込むことを探すという前提で読めば、

「ここらへんは知っていることばかりだから、ザッと流すか」
「このあたりは新鮮なことが書いてあるな。注意深く読み進もう」

 というふうに、探しながら「あたり」をつけて読むようになるのです。僕はこれを「サーチ読み」と呼んでいます。「ナナメ読み」「流し読み」と似たようなもので、要は我流の速読です。

 自転車では、傾斜によってギアをこまめに変えるのが効率的に走るコツだと言います。本を読むときでも、よく引っかかるところは低いギアでしっかりと、抵抗がないところは高いギアですべるようにと、ギアを切り替えながら読む方が、疲れにくく短時間で本が読めると感じています。

 要は、読書を自分にとっての「重要箇所を抽出する作業」ととらえるわけです。そうすれば、余計な枝葉を払うように、おのずと本を読む目的意識が絞られてきます。

 読書ノートをつけるもう一つの効果は、記憶への定着がよくなることです。詳しくは次項で説明しますが、読書ノートをつくろうとすると、読むとき、ペンでチェックするとき、読書ノートを書くとき、と何度も読むことになります。その結果、普通に読むより数倍も印象に残るようになる。その上、手書きで抜き書きした場合には、なおさらです。(第3回へ続く)


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なぜ、読んだのに覚えていないのか?多読・速読より、1冊ずつきちんと頭に残す読書術。読書の目的は、読んだ内容をきちんと自分の血や肉にしていくこと。本書は情報の摂取で終わらず、「読書体験」にするための「読書の技術」を多数紹介します。旧版を全面的に書き直し、特に「書き方」と「読み返し方」の新技術を大幅増補。その他、誰でも実践できる「アナログ検索」の技術を追加し、本文写真、巻頭口絵を増やして、よりビジュアル的に楽しめる作りに変えました。読書体験を充実させるアイデア、ノートづくりに役立つ文房具も増やした、読書術の決定版です。
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著者紹介
奥野宣之(おくの・のぶゆき)
1981年大阪府生まれ。同志社大学文学部でジャーナリズムを学んだあと、出版社、新聞社の記者を経て『情報は1冊のノートにまとめなさい』で著作デビュー。独自の情報整理術や知的生産術がビジネスパーソンを中心に支持を集め、第2弾『読書は1冊のノートにまとめなさい』、第3弾『人生は1冊のノートにまとめなさい』と合わせたシリーズは累計50万部を超えるベストセラーとなった。
ジャーナリストの経験を活かし、ウェブや雑誌のライターとして活動するかたわら“ノート本作家”として、メディア出演・講演などでも活躍中。仕事に活かせるノートや文具の活用法、本とより深く付き合うための読書法、人生を充実させるライフログの技術、旅行や行楽を楽しむための旅ノート・散歩ノートの技術など、活動の幅は広い。趣味は古墳めぐりと自然観察。ついでに写真撮影。仕事だけでなく家庭や趣味でもノートを使いこなすライフスタイルは、NHKやTBSでも放送され反響を集めた。
その他の著書は『旅ノート・散歩ノートのつくりかた』『知的生産ワークアウト』『「処方せん」的読書術』『新書3冊でできる「自分の考え」のつくり方』など多数。

著者エージェント:アップルシード・エージェンシー
http://www.appleseed.co.jp