「達成しないのはカッコ悪い」という文化が
コスト管理の秘訣!?
保田 共通費の支出に関するコントロールは、もちろん本部でできると思いますが、事業部レベルのコストコントロールというのは、どこまで菅原さんのコーポレート本部でやっているのでしょうか? 一般的な会社では、放っておくと、ぶくぶくとコストが膨れ上がっていくものです。
菅原 そんなにぶくぶく膨れ上がることはありません。毎月、グループ経営会議を開催していまして、そこには各事業部の責任者、つまり、損益計算書に責任を持つ本部長クラス以上が集まって月次の業績報告を行います。各事業部門、または、子会社単位で報告しますが、やはり、予算を達成していないのは非常にカッコ悪いという雰囲気になるんですよ。費用はなるべく抑えながら売上を増やし、そして、利益もたくさん出すという姿を見せることがいちばんカッコいいですから。
保田 だからコストコントロールも徹底されていると?
菅原 たまにしか発生しませんが、目標や予算と大きくずれてくるとしたらM&Aを含む投資関連でしょうか。それらはイレギュラーな取引ですから、予期しないのれん、および、それに伴う償却費が出てきます。もっとも、それは投資家に向けても戦略的な説明が十分できれば、予算に対して利益が下回るようなことがあっても実行しようという判断を行います。
保田 でも、菅原さんはこうして淡々とお話しされていますけど、やっぱり普通の会社はできないだろうなあ。この違いは何なのだろう?
田中 行き当たりばったりの成り行き経営の会社だと固定費をコントロールできずに芋づる式にすぐ増えますよね。
菅原 当社では、予算で計画していること以外にお金を使わないというカルチャーがありますね。 広告関連の費用でさえ「こういう施策をやりたいから、予算を超えるけど使っちゃいましょう」といこともないんですよ。今はもうそんなことはないのに、資金繰りで苦しかった昔の状態から抜けられません(笑)。我々は上場していますし、内部統制が効いていることもあるんじゃないでしょうか。みんな決裁権限規程をしっかり見てお金を使いますから。
保田 う〜ん。決裁権限規程は、どこの会社にもあるんですけどねえ。やっぱり「きちんとコントロールできている」ということに尽きますよね。厳格な統制を緩められない、といった恐怖心みたいなものがあるのかなぁ。
田中 たしかに私の目から見ても、アイスタイルさんは良い意味でケチ。結構シビアにやっていますよね。このオフィスの中にいるとそれを実感できないかもしれませんが、移転に伴うオフィスの施工費用は相当絞っていますものね? 先日、お話しを聞いて、シビアにしっかりやられているなあと思いました。
菅原 そうですね。貧乏生活が長かったせいじゃないかな(笑)。家賃も設備・工事も坪単価は相当絞ったつもりです。それでも、このオフィス移転に関しては、我々にとっては思い切って飛び込んだ感じです(笑)。
保田 清水の舞台から飛び降りた感じですか?
菅原 はい。この会議室の椅子も定価は結構するんですが、ご想像するよりも圧倒的に値下げしてもらったんですね。デザイナーからは、当初、エリアによって違う種類の椅子やテーブルを提案されたんですが、可能な限り同じ種類の椅子に統一することによってボリュームディスカントしてもらったり。