今回も前回に引き続き、ライフネット生命保険株式会社の岩瀬大輔代表取締役副社長に「仕事の極意」についてお話を伺います。今回はその【後編】です。 前回【前編】はこちら。
■ 社長ファイルNo.6 ■
ライフネット生命保険株式会社
代表取締役副社長 岩瀬大輔 氏
■ 岩瀬副社長が選んだ「仕事の極意」(スキル)は・・・ ■
コミュニケーション
岩瀬大輔(ライフネット生命保険株式会社 代表取締役副社長)
1976年、埼玉県生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中に司法試験合格。ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ホールディングスを経て、ハーバード経営大学院に留学。日本人では4人目となる上位5%の優秀な成績(べイカー・スカラー)を収め、卒業。帰国後、出口治明氏(現・ライフネット生命社長)に出会い、現職。著書に、留学中の出来事をブログに綴った『ハーバードMBA留学記』(日経BP社)、伊藤真氏と共著で『超凡思考』(幻冬舎)がある。
高城 前回は、相手の立場を考慮したコミュニケーションの重要性について伺いました。そこで今回は、コミュニケーション力を高めるもっと具体的な方法をお聞きしたいと思います。
岩瀬 この会社を立ち上げるとき、ある方のところに出資のお願いに行ったところ、後でたいへん褒めていただいたことがあります。それは、先方が出してきた20前後の質問に対し、僕がすべて答えきったからです。
もちろん、出資してもらいたいという一心でしたから、言いたいこと、訴えたいことは山ほどありました。でもそれ以前の問題として、先方にとってみれば、こちらの事業に対して不安や心配があるのは当然だし、逆に聞きたいことが山ほどあるはず。そう思い、先方の立場に立って質問を想定し、できるだけ誠実に応えられるよう準備をしておきました。
リスクのない事業はありませんから、それも正直に話して共有してもらうということも心掛けました。また、その時点で不明な点が見つかった場合には、ごまかしたりせず、正直に「わからない」と伝えました。こうすることで、相手の心配や不安をできるかぎり潰すことができました。一方的な説明ではなく、バランス感覚を持って応対したことが、結果的に説得力につながったんだと思います。
高城 たしかに、最初から理詰めで一方的に説明されると、逆にアラを探したくなる。僕もコンサルタントの方々の話を聞いて、そう思うことがあります。やはり相手のゴールに合わせることが大事ですね。
岩瀬 もっと単純にいえば、相手の立場に立って、ツッコミポイントをあらかじめ挙げて整理してみる。相手が聞きたいことは何か、自分が相手だったらどんなことに不安を感じるか、を徹底的に考え抜いておくわけです。
仕事は“クイック&ダーティ”
を繰り返す
高城 ただ、事前にいろいろ準備しても、いざプレゼン本番ではそれを活かせない人が少なくありません。どうしたら上手くなりますか?