第4回
［ちきりん×堀江貴文 対談］（後編）
自立した理想の生き方を目指す

あなたはほんとうに
「自立」しているか？

堀江 僕はほら、まわりの人間だけでなく親にも、もう少しちゃんと自立してほしいって思っているタイプなんですよ。

ちきりん 『ゼロ』の中の自立の話も、非常に面白かったです。

堀江 大事なところです。

ちきりん 私、親と一緒にいた高校までの間、やってみたいことを父親にいろいろ頼んでも、全部ダメだって言われてたんです。

堀江 へえー。

ちきりん 高校に交換留学の制度があって、私はぜひ外国に行ってみたかったから、もう泣き叫びながら「行かせてよ、お願い！」って頼んだのに、「そんなに行きたいなら自分で稼いでから行けばいい」って。

堀江 すごい親ですね。

ちきりん 父親がよく言っていたのは、「人生でやりたいことがあるなら、自分のカネでやれ」ということでした。「俺のカネで食ってるあいだは、俺の言うとおりに暮らしてもらう」って。なので私、できるだけ早く自分で稼いで自立したかったんです。

堀江 すごく、わかります。

ちきりん だから『ゼロ』に書いてある、自由と責任はセットだという話は、ほんとその通りだよって、何度もうなずきながら読みました。

堀江 大人になっても自立できていない人が多いですからね。

ちきりん 多いですか？

堀江 まあ、僕から見れば、ほとんどの人がそうじゃないですか。

ちきりん えっ、そんなに?!

堀江 でもべつに僕は、「人に頼るな！」と言ってるわけじゃないんですよ。むしろ積極的に頼りなさい、と昔から言っています。

ちきりん それと、個人として自立する話は違うってことですね。 

堀江 ひとりで抱え込まないで、頼るときは頼る。でも、責任は自分がしっかり取る。自立できていない人は、頼りっぱなしで、何かあったときの責任まで、他人に押しつけようとしますから。

ちきりん たしかに。

堀江 あと最近、僕が自立において大事だと思っているのは、ちきりんさんが『未来の働き方を考えよう』で言っている、「フローの力」ですね。

ちきりん これからの時代、ストック型からフロー型へとシフトしていかないと。

堀江 そうそう、特に老後は、フロー型じゃないと厳しくなりますよね。

ちきりん そのとおりです。これまでは、定年までに築き上げた「ストック（貯めたもの、資産）」で老後を乗り越えることができましたが、寿命が100歳まで延びそうな今の時代、それだと限界があります。だって定年後、40年もあるかもしれないんですよ!?

堀江 現実的に、そうなってきていますよね。

ちきりん だから、貯金なんかよりも、その時々になんらかの価値を生み出し続ける「フローの力」が大切になってくるんです。定年後でも、最低限の生活費くらいは自分で稼げないと、まずいことになります。

堀江 それは、人間関係でも同じですよね？

ちきりん はい。人間関係もまったく同じで、定年までに築いた人間関係を一生大事に維持していく、というストック活用には限界があります。家族であれ、友人であれ、昔の同僚であれ、過去に築いた人的ネットワークは、それぞれの人が寿命を迎えるたびに小さくなっていきますから。

堀江 いつでもどこでも新たに一から人間関係をつくることができる「フローの力」が、高齢化社会においては、大事になってくるんですね。

ちきりん そのとおりです。