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「デジタルな日常」を生きる

「デジタルで何をしたいのか」
という本質を考えさせられた1年

松村太郎 [ジャーナリスト・著者]
【第10回】 2013年12月27日
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 このように振り返ってみると、「成熟期」に入っていることを、より強く印象づけられる。同時に、デバイスの中心がモバイルに移行する、つまりより動詞を意識しながらサービスが提供されることを考えると、「自分は何がしたいのか」という本質的な部分でデバイスやサービスを選ぶことにつながる。

 新しいサービスを試すことも非常に重要な体験だし気づきも多いが、そのサービスを使うことは目的ではなく、そのサービスを使う目的性がハッキリしているかどうかが重要で、目的性がわかりやすいものが長く残っていくサービスになっていくということだ。前述のサービス名の「動詞化」はまさに目的性を直接的に表しているといえる。

 もちろんすんなりと、自分が実現したい本質にたどり着くサービスを選び取ることは難しい。しかしデジタルの中でも、様々な葛藤が存在している。

合理的な問題と、
感覚的な問題がつきまとう

 筆者は2013年に「Bitcasa」というクラウドストレージサービスを使い始めた。同社は、10月のサービス改変前まで、年間99ドルで無制限のストレージを提供するサービスだった(現在は年間99ドルで1TB)。

 スマートフォンやデジタルカメラのカメラの性能は年々上がり、画素数が増えれば写真1枚あたりのデータも大きくなる。さらにフルHDのビデオも気軽に撮れるようになると、写真とは桁違いに保存領域が必要になる。しかしパソコンはフラッシュディスクやSSDの採用で、内蔵する保存領域の容量が小さくなっていく。実に矛盾を抱えているのが現状だ。

 このままでは、現状でも毎年2TB程度の外付けハードディスクを購入しないとデータが管理しきれない。しかも必要となる容量は今後も増加を続け、他方ハードディスクの価格低下のスピードを追い抜くと考えた。そこで、外付けハードディスクを毎年購入する金額をBitcasaの利用料金に充てた。ここで一つ、合理的な判断をしたことになる。

 他方で、Bitcasaへの移行をためらった自分もいた。それは、手元にある外付けハードディスクと、ネットの向こう側にデータを置くクラウドサービス、どちらが直感的に「安全」と思えるかということだ。

 筆者はインターネットの登場より前からパソコンを使っており、どちらかというと手元にあるハードディスクなどの記憶媒体の方が安心できる立場だった。クラウドサービスの事業者に任せるとなると、転送中のネットワークの信頼性や、データの保存の確実性、サービスの継続性などを心配してしまい、それなら自分の手元にある方が安全なのではないか、と思ってしまうのだ。

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松村太郎
[ジャーナリスト・著者]

まつむら・たろう/1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「スマートフォン新時代」「ソーシャルラーニング入門」など。

「デジタルな日常」を生きる

スマホ、SNSなど、毎日の暮らしに欠かすことのできなくなったネット環境とデジタルツール。その一方で、セキュリティやプライバシーの問題、ツールへの依存、ネットコミュニティとの関わり方など、日々新たな問題が現れ、状況は変化している。私たちは「デジタルな日常」をどう生きていけばいいのか、米国シリコンバレー在住の記者が、生活者の目線で解説する。

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