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「デジタルな日常」を生きる

「デジタルで何をしたいのか」
という本質を考えさせられた1年

松村太郎 [ジャーナリスト・著者]
【第10回】 2013年12月27日
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 しかし、実際にはBitcasaは、データを暗号化し、また日米欧の3箇所にバックアップを取り、過去の状態のファイルを取り出すことができる仕組みまで備えている。それに比べ、自宅のキャビネットの中はどうだろう。何らかのノイズでデータが壊れてしまえばそれでおしまいだし、一般コンシューマー用の製品の信頼性には限度がある。なにより、クラウドサービスならどこからでもファイルが取り出せるが、自宅のハードディスクは自宅にいないとデータが取り出せない。

 合理的に考えれば、Bitcasaの方が良いに決まっている。しかしやっぱり手元にあるほうが方が…、という経験からくる感覚的な部分との葛藤が起きる。おそらく、どちらが正解ということはないはずだが、こうした悩みの存在を認識することは、前述したデジタルで実現したい「本質」と、それを取り巻く問題を考える際にわかりやすくなるのではないだろうか。

葛藤を突破する
メリットを示せるか?

 たとえば、教育とデジタルを近づけるべきか、遠ざけるべきか。職場に自分のモバイル機器を持ち込むべきか否か。ソーシャルメディアを活用したコミュニケーションを認めるべきか、禁止するべきか、など。デジタルにまつわるさまざまな葛藤が存在している。これらを乗り越えるために、デメリットを改善したり、より異なる本質を示すことが、解決の1つになると考える。

 Bitcasaの場合、手元のハードディスクからの乗り換えを促そうとする際に、「データを保存したいのか、活用したいのか」という問いかけをしている。

 外付けハードディスクの場合、それがある場所から利用するのが基本で、スマートフォンやタブレットから気軽に利用できる環境にない。しかしBitcasaは、ウェブやアプリを提供し、保存してあるデータを写真や音楽、ビデオなどに分類して、モバイル環境から閲覧・利用できるようにしている。これは、ユーザーに、ただ単にハードディスクに貯めておけばよいのではなく、すぐに活用できなければ意味がない、という本質を示しているのだ。

 筆者にとって、この問いかけは、Bitcasaを選ぶ上で非常に役立つ「本質的なメリットの提示」になった。デジタルが生活の中に入り込んでくるときに、こうした変化がどのように起きるのか、をキチンと分析しながら取り組んでいく必要があるだろう。

 2014年は、より生活とデジタルが密に融合していくシーンを予測している。そんな中でも新しい派手なものに惑わされず、本質を見据えながら、お伝えしていこうと思う。

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松村太郎
[ジャーナリスト・著者]

まつむら・たろう/1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「スマートフォン新時代」「ソーシャルラーニング入門」など。

「デジタルな日常」を生きる

スマホ、SNSなど、毎日の暮らしに欠かすことのできなくなったネット環境とデジタルツール。その一方で、セキュリティやプライバシーの問題、ツールへの依存、ネットコミュニティとの関わり方など、日々新たな問題が現れ、状況は変化している。私たちは「デジタルな日常」をどう生きていけばいいのか、米国シリコンバレー在住の記者が、生活者の目線で解説する。

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