昨年12月の「賞与が出たら買いたい商品」のアンケート調査では、女性部門の第二位に家電製品がランクされていた。国内での家電製品に対する需要が盛り上がっているのだが、多くの消費者の目が海外製品に向かっている。かつてわが国を代表する産業分野であった家電メーカーの低迷は、こんなところからも明らかだ。

わが国企業に求められる
非連続系イノベーションの重要性

 一般的に、企業は新製品で成功を収めると、当該製品の改良を行うことで成功の持続を願うことが多い。そうした状況が続くと、いずれ安価な人件費を享受できる新規参入者が現れたり、新しい製品が開発されたりする。そうなると、一時成功を収めた企業の業績は低迷して、新しい企業にとって代わられることになる。それが経済の新陳代謝だ。

 そのため、企業が長期的な存続を目指すならば、常に新しいものにチャレンジするイノベーションの姿勢が必要不可欠だ。そのイノベーションの方向性は、今あることの延長線ではなく、むしろ今までとは違った非連続な動きになる必要があるだろう。著名経済学者であるシュンペーターは、そうしたイノベーションを“創造的破壊”と呼んだ。

 シュンペーターが示したイノベーションのカテゴリーには、新たな製品の開発(プロダクト・イノベーション)や、新しい生産材料や生産技術(プロセス・イノベーション)があるが、基本的には需要者である消費者が欲しいと思い、しかも購買することが可能な製品群を効率よくつくり、需要者に届けることが重要になる。

 わが国企業は家電メーカーに限らず、すでにある製品に様々な機能を付加することで価格を引き上げ、収益状況を維持しようとする姿勢が強いと言われてきた。それがすべて悪いというわけではない。経営戦略として、高付加価値製品によって収益を上げるのは相応の有効性はある。

 しかし、常にそうした戦略が通用することは考えにくい。むしろ、ノンフライヤーやルンバのような非連続系の新製品を生み出す戦略が必要になるはずだ。企業が、常に新製品を生み出す企業文化こそ、長期間生き残るための最も重要なイノベーションの要素と考える。わが国家電メーカーは、そうした企業文化を忘れた時期があった。