1961年に農地面積は609万haに達した。その後公共事業などで105万haの農地を造成した。農地は714万haあるはずなのに、455万haしかない。現在の全水田面積や農地改革で小作人に開放した面積を上回る260万haの農地が、半分は宅地などに転用され、半分は耕作放棄されて、なくなった。農地を潰したのは農家であって株式会社ではない。

ゾーニングの不徹底が規模拡大を阻害 

 土地には強い外部性が存在するといわれる。まとまりのある農地の中に建物が出来ると、機械や水の利用が非効率となったり、施肥、農薬散布、家畜飼養等をめぐる他の住民とのトラブルが発生したりするなど、農業生産のコストが増大してしまう。また、農地が耕作放棄されて草木が繁茂すると病虫被害が生じる。高い建物ができると、隣の農地は日陰地となる。

 他方で、農地の中に住宅などが建つと、道路、下水道、学校等の社会資本を効率的・集中的に整備できなくなってしまう。特に農地改革後、農地が細分化して所有されるようになると、個々の小地主の宅地などへの農地売却という行動により、外部不経済が甚(はなはだ)しくなった。

 このため、ヨーロッパでは、土地の都市的利用と農業的利用を明確に区別するゾーニングが確立している。ゾーニングによって、他産業の成長が農村地域からの人口流出をもたらすと、自動的に一戸当たりの農地面積は増加した。

 わが国でも「都市計画法」で市街化区域と市街化調整区域が区分され、「農業振興地域の整備に関する法律」(農振法)により指定された農用地区域では転用が認められないことになっている。しかし、これらのゾーニング規制は十分に運用されなかった。

 都市近郊農家は農地転用が容易な市街化区域内へ自らの農地が線引きされることを望んだ。農振法の農用地区域の見直しは5年に一度が原則であるが、農家から転用計画が出されると毎年のように見直される結果、農用地区域の指定は容易に解除される。農用地区域の指定を任されている市町村長としては、農地を宅地や工業用地にしたほうが地域振興に役立つ。また、選挙民が転用したいと言ってくると、拒否できない。