政府の制度上、個々の政策の有効性を、取りこぼしなく吟味する枠組みが存在していないがゆえ、どの政策もおしなべて「バラマキ」に流れやすい。政策の有効性が低くとも予算がつく土壌があるため、歳出が膨らみやすく、加えて言えば、過去、幾度となく打ち出された「成長戦略」の例からも明らかなように、実際の政策の効果も乏しくなりがちな側面がある点は否めないだろう。

④独立財政機関の設置―「政治」の限界を補うガバナンス面での工夫

 そして、「政治」の限界を補うための、財政運営のガバナンス面での工夫も、わが国には欠如している。選挙によって選出される「政治」(議員)に財政拡張志向があるのは、わが国のみならず、各国に共通だ。それゆえ、各国は、こうした「政治」の限界を補うべく、(a)財政運営方針策定の前提となる見通しを、政府や国会からは独立した中立的な機関に策定させる、(b)政府に対して、予算案の編成過程で独立財政機関への協議を義務付ける、(c)国会に対して、予算案の審議過程で独立財政機関の見解を聴取することを義務づける、といった形で、政府や国会から独立した財政機関を設置するなどして、財政運営のガバナンス面での工夫を行っている。わが国の場合も、現行体制のもとにおいて、こうした工夫を行うことは不可能ではなかろう。

 ちなみに、現在の安倍政権のもと、去る1月20日に内閣府が経済財政諮問会議に提出した「中長期の経済財政に関する試算」においては、2014年度以降も、財政収支のみならず、基礎的財政収支に関しても大幅な赤字(2014年度の見通しは財政収支▲35.8兆円、基礎的財政収支▲26兆円)が続く前提であるにもかかわらず、公債等残高の対名目GDP比が、2013年度をピークに以後、2020年度にかけて一貫して低下していくという、一見して奇妙な見通しが示されている。

 その主因は、長期金利の水準が、高い物価上昇率や名目経済成長率を大きく下回るレベルで設定されていることにある。こうした姿は、過去の国内外の経験からしても尋常ではない。深読みすれば、現在のような開放経済下ではその持続可能性も疑われる「金融抑圧」(市場金利を意図的に押し下げる)状態が、今後2010年代後半にかけて一貫して継続するという「都合のいい期待」に立脚した将来展望を国民に示しているといえる。税収に高い伸びを見込む一方、国債の利払費の伸びは抑制できるという、資金の借り手である政府にとってはきわめて都合が良いものの、中立的とはいい難く、かつ非現実的な見通しが示されているのだ。