特定支出控除制度の最大の壁は「会社」
しかし、私が思うに、特定支出控除の利用における最大のネックは「会社が証明してくれるかどうか」ではないでしょうか。
この制度を利用するためには、確定申告書に所定の「証明書」をつけて一緒に提出しなければなりません。
これには勤務先の捺印が必要で、支出が「業務上必要であった」と正しく会社が太鼓判を押してくれるものなのです。
証明書にハンコを押しても会社側にデメリットはないはずなのですが、これまでの説明のとおり、会社はもちろん、我々税理士はおろか税務署にとってもなじみのない制度なので、会社側がハンコを押してくれない可能性もあります。
それに総務なのか経理なのかわかりませんが、税務署から問い合わせがくることもあり得るので、「面倒なことを持ち込むな」と言われる可能性だってあると思います。
こんなことを言い出すと、かなりハードルが高い制度のように思えますが、大手企業や外資系企業に勤めている方や、税理士法人に勤めている税理士や税理士事務所に勤めている職員などでチャレンジする人がきっと出てくるのではないかと、私などは勝手に想像しています。
あくまでも「会社が認めた支出」であれば全然問題はないのですから、金額面をクリアした人で会社が証明書を出してもらえそうであれば、チャレンジしてみる価値はあると思います。
その動向次第では、来年、確定申告する人が一気に増えるかもしれません。
全国のサラリーマンにとって要注目といったところですね。
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通称“ぶっちゃけ税理士”。東北税理士会所属。山一證券では同期トップクラスの営業成績。アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場準備担当役員や会計事務所勤務など、10年間に転職4回と一時期無職になった経験を活かし、創業から事業承継・M&Aまでを網羅して中小企業を支援。何事にも本音でぶちあたるその姿が共感を呼び、政府系起業支援団体の第1期アドバイザーとして指名数東北・北海道ナンバーワン(全国3位・起業相談部門)となったほか、メガバンクや企業での講演、プレジデント・日本経済新聞への掲載などマスコミ取材も多数。関与した経営者は2000人超。元査察の税理士に仕えていたため、税の世界の裏事情にも詳しい。