自信は、どのタイミングでどんなふうに生まれるのか?
みなさん、考えたことはありますか?

知らないうちについている自信
がんばっているのに、なかなかつかない自信
何かあると、すぐに揺らいでしまう自信

「自信」とは、いったい何なのでしょう?

今日から始まる全5回連載では、『自信は「この瞬間」に生まれる』を刊行された、ハーバードで「ベストティーチャー」として選ばれ続けた日本人教授、柳沢幸雄さんに「自信」の秘密を教えていただきます。

柳沢先生によると、勉強でも、仕事でも、趣味でも、努力を確実に「自信」につなげられる人は、ある法則を理解して、実践しているそうです。

「つまずき」の99%はここで起こる

 長年、人を育て続けるなかで、私は1つの法則を確認しました。

 それは「すべての成長はS字カーブを描く」という法則。

「S字カーブ」のなかでもっとも重要なのがグラフ内に示した部分です。ここを「立ち上がり」と呼ぶことにしましょう。


自信が生まれるのは、まさに「この瞬間」です。

「立ち上がり」を迎えるまでは、本当にこれが自分に向いているのか、自分は正しい努力をしているのか確信が持てずにいたことも、「この瞬間」に「これでいいんだ!」と思える。

 さらにいえば、「伸びる人」と「伸び悩む人」を分ける最大のポイントも、この「立ち上がり」にあります。これを無事に越えられた人が「伸びる人」、越えられずに脱落してしまった人が「伸び悩む人」です。

 そして、残念なことに大半の人がここでつまずいてしまう。勉強でも、仕事でも「つまずき」の99%はここで起きるというのが、長年人を育て続けてきた私の実感です。

〈努力を確実に「自信」につなげられる人が実践していること 1 〉
「自信はじわじわ湧いてくるものではない、瞬間的に生まれるものだ」ということを理解している。

 

柳沢幸雄(やなぎさわ・ゆきお)
東京大学名誉教授。開成中学校・高等学校校長。シックハウス症候群、化学物質過敏症に関する研究の世界的第一人者として知られる。1947年、疎開先・千葉県市川市の母の実家で出生。1971年、東京大学工学部化学工学科を卒業後、日本ユニバック株式会社にシステムエンジニアとして勤務し、激務のかたわら、週15時間英語の勉強に打ち込む。1974年、水俣病患者を写したユージン・スミスの写真に衝撃を受け、化学工学を勉強すべく、東京大学大学院工学系研究科の修士課程・博士課程に進学。この頃、弟と一緒に学習塾の経営を始める。東京大学工学部化学科の助手を経て、1984年にハーバード大学公衆衛生大学院環境健康学科の研究員の職を得て、家族を連れ渡米。その後、ハーバード大学公衆衛生大学院環境健康学科の助教授、准教授、併任教授として空気汚染の健康影響に関する教育と研究に従事、学生による採点をもとに選出される「ベストティーチャー」に数回選ばれる。1999年、東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻教授に就任。2011年より現職。