買ってくれるだろうという思い込みは禁物。
そういう時こそ、質問しよう

 多くの営業マンは、この質問をしたらお客様は怒るのではないか、気分を害さないかと感じた時に、質問することを止めてしまいます。それがときに大きな損失となります。

 さらに、今村氏は、商談の中で自分がうまく行った時と、そうでない時の違いがよくわかるようになったそうです。見込み客を失う原因の一つに、聞くべきことを聞かなかったことを上げています。

 「以前の私の失敗談ですが、車が壊れたので、次の車を買おうとされているお客様がいらっしゃったのです。その時の車種はVOXY(ヴォクシー)でした。すでに何回も面会していましたので、当然買ってくれるだろうと思っていたのです。ところが、他社で買われてしまい、非常にショックを受けました。『当社での車の購入について前向きに考えておられますか?』『何か気がかりなことはありませんか?』などあとで振り返ってみると、聞けばよかったことを聞かなかったのです。もし聞いていれば、その対策を十分に打てたと思うのです。正直、これは後悔しました。自分でこの質問をしないといけないとわかっていたのに、しなかったということです」

 そのような反省をしながら、質問型営業を続けて3年。営業スタイルに大きな変化があったようです。

 「今乗っている車に満足していると言われるとなかなか次の車を提案できないのですが、『じゃ、次の車に求めるものは何ですか?』『今の車にあと何があればいいですか?』『車の年数が経つうちに出てくる見えないコストや不安などについてはどう考えていますか?』などを質問しながら、金額負担も含めて次の車の購入の気持ちを作って提案するというようにしています。そのぶん、即購入にいたりませんが、3ヵ月、6ヵ月の中で、『あの話もう一度聞かせてくれ』といわれることが多くなりました」